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【レポート】2022年秋は朝霧アリーナで再会。同じ場所で体験することの楽しさを味わえた朝霧JAMプレイベント。

2022.01.21 Fri

菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ

 2019年は台風、2020年と2021年はコロナ。3年連続で開催中止となってしまった朝霧JAM。再起動の一歩目として、朝霧JAMプレイベント〜Keep on ASAGIRI JAMMIN’〜が1月13日に行われた。会場は富士宮市民文化会館。チケットは隣の席には座らないように前後左右一席を開けて販売され、しかも2500円と安いこともあって発売直後に完売したという。

 開場時間の15時近くになったら、少しずつ人が会場に集ってきた。エントランスの横には朝霧JAMの会場ではおなじみのフォトブースも設置され、ここに来たんだという証を撮る人たちが並んでいる。笑顔でハグしたり、ビールで乾杯したりという光景はない。それぞれがソーシャルディスタンスを保ち、コロナ禍での開催を自覚しているのだろう。ワヤワヤガヤガヤのない、落ち着いたフェスのスタイルだ。

  オープナーに予定されていたYogee New Wavesはメンバーのひとりがコロナに感染したことによりキャンセルになった。タイムテーブルは変更されることなく、Yogeeが予定されていた時間には富士宮や朝霧で撮影されたアーティストの映像が映し出された。本門寺重須孝行太鼓保存会は北山本門寺、MIZは富士山本宮浅間神社、草田一駿は陣馬の滝、Michael Kanekoは田貫湖、そしてYONA YONA WEEKENDERSは朝霧JAMの会場である朝霧アリーナ。このプレイベントが富士宮で開催されていることの意義を、それぞれのライブ映像を見ながら考えていた。

 そしてライブがスタートする。中納良恵はグランドピアノ、ハナレグミはアコースティックギターでのソロでの弾き語り。ラストの折坂悠太のみがバンドセット。それぞれが40分〜50分という短い演奏時間のなかで、朝霧JAMへの思いを語り、朝霧JAMへの思いを演奏で表現していった。



 会場がコンサートホールで、ステージはひとつ。フェスを彩る出店もあるわけではない。全体の構成を考えれば、ライブコンサートであるはずなのに、そこかしこにフェスの雰囲気が漂っている。それはきっと、出演するアーティストも参加したファンも、ライブだけを求めて集まったのではないからだろう。ライブというメインがあり、いろいろなアーティストのライブを一堂で見られるのもフェスの大きな楽しみなのだけれども、もうひとつの別の柱がある。日常から離れて、同じ場所に集い同じ体験をすること。フェスの楽しさはそこにある。

 エントランスホールには、タルチョにメッセージを書くブースがあった。この日に書かれたメッセージは、朝霧JAMの会場で掲出されるという。出演したアーティストたちも、タルチョにメッセージを書いた。音楽の場をつなぎ、野外フェスという場が持っている豊かさをさらに広げていくこと。そんな思いを、みんなが共有して持ったいたに違いない。秋に予定されている富士山に抱かれての朝霧JAMはもちろんのこと、日程が発表されたフジロックも、春に開催予定の春フェスも、開催されますように。それをみんなが願い、同じ時間を過ごすことを楽しんだ一日だった。

写真 = masami hara、omiso(中納良恵)

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