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「世界」を知るための、2022年フジロックおすすめアーティスト5選。
2022.07.27 Wed
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ
欧米のビッグフェスのヘッドライナーを、日本で体感できることとともに、アメリカやイギリスといったロックカルチャーを先導してきた国だけではなく、様々な国や地域のアーティストを知ることができるのもフジロックの魅力だ。音楽を聞くことによって、今まで遠く感じていた国が一気に近くになる。政治とは違う音楽による交流に他ならない。フェスカルチャーの根源にあるピース&ラブ。3年ぶりに海外からのアーティストがラインナップされているフジロック。「世界」という観点でおすすめアーティストを紹介したい。
THE HU(ザフー)
今年のグリーンステージの幕開けを飾るのがTHE HU(ザフー)。モンゴル出身のトラディショナル・メタル・バンドだ。バンドのプロフィールを見ると、モリンホールやトプシュールというモンゴルの伝統楽器やホーミーという単語が出てくる。自分たちの音楽を「Hunnu Rock」と名乗り、自分たちのバックボーンとロックをミックスさせて、独自の世界観を作り出している。フジロックのトップバッターにふさわしい、大地に響くような演奏を聞かせてくれるだろう。
BLOODYWOOD(ブラッディウッド)
2日目のグリーンのトップバッターにも注目したい。インド・ニューデリー発のインディアン・フォーク・メタル バンドのBLOODYWOOD (ブラッディウッド)。このバンドも様々なインドの民族楽器を使う。けれど音楽のベースとなるのはヘッドバンギングしてしまいそうな疾走するようなハードコアなサウンド。インドとメタルのミクスチャーという、今までに体験したことのない時間が待っている。
ALTIN GÜN (アルトゥン・ギュン)
3日目のフィールドオブヘブンにラインナップされているのがALTIN GÜN (アルトゥン・ギュン)。オランダ・アムステルダムを拠点にするバンドで、トルコ系の男女ふたりをフロントに据え、バックをオランダ人音楽家が支えている。トルコ国内で人気を集めつつある「ターキッシュ・サイケデリア」のバンドだという。3日目のヘブンは、このバンド以外は日本人アーティストばかりで、なぜここにこのバンドが入っているのか聞いてみた。エスニックでありながらポップで、ちょっとサイケデリック。クルアンビンをイメージしてもられば近いかもしれない。確かにヘブンにハマる音。ヘブンにラインナップされている理由がわかった。
KIKAGAKU MOYO(幾何学模様)
2012年に高田馬場で結成された幾何学模様。けれど日本での活動はほとんどなく、海外で活動を続けてきた。メンバーの何人かは、今もアムステルダムを拠点としている。かつてはボナルーやロスキルドなどのビッグフェスに出演。今年も6月に開催されたグラストンベリーにラインナップされていた。70年代をイメージさせる音世界は、日本よりも欧米での評価が高いのもうなづける。フジロックを最後に活動休止が発表されている。フジロックの幾何学模様は、語り継がれる伝説的なライブになる。
DAWES (ドーズ)
ギター、ドラム、そしてコーラス。80年代のアメリカ西海岸のサウンドを呼び戻してくれるバンドだ。ロサンゼルスを拠点に2009年にデビューアルバムをリリース。現代の西海岸サウンドであるということ以上に個人的に惹かれたのが、グレイトフル・デッドのフィル・レッシュに招かれ、フィル&フレンズのフレンズとして何度もライブしていること。DAWESのフジロック直近のライブは、7月4日行われたフィル&フレンズとしてのライブだった。フィルは若手ミュージシャンと一緒にライブすることによって、サイケデリック〜ジャムを継承させようとしているところがある。アメリカのフェスカルチャーの要因でもあるサイケデリックを、どうDAWESが自分たちのものとしているのか。そのちょっとした痕跡がヘブンで感じられるのかもしれない。
※今年も、キャンプサイトエントランスのキャンプよろず相談所前で「フジロックコンセルジュ」開催。木曜金曜土曜の深夜24時から「明日のフジロックの歩き方」をテーマに出演アーティストなどをゲストに呼んでのトーク。