- フェス
それぞれの物語が朝霧JAMで綴られる。2022年はこの海外アーティストに注目。
2022.10.03 Mon
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ
4年ぶりの朝霧JAMの開催が近づいてきた。2019年は台風によって中止。そして2020年と2012年はコロナ禍。コロナが終息したわけではないけれど、海外からのアーティストもラインナップされた朝霧JAMは、やっぱり日本の秋フェスを代表するとして、多くのファンが開催を待ち望んでいた。
ロンドンジャズ・シーンの重要人物のひとりであるカマール・ウィリアムズと、90年代から活動を続けているネオ・サイケデリ・バンドのスピリチュアライズドの出演キャンセルはちょっと残念ではあるけれど、注目の来日アーティストはまだまだいる。「これは絶対に見なきゃ」と思っているアーティストを紹介。
FANTASTIC NEGRITO(ファンタスティック・ネグリート/アメリカ)
アメリカ・カリフォルニア州オークランドで育ったファンタスティック・ネグリート。1995年に本名のイグザヴィア名義でアルバムをリリース。しかし1999年に遭った交通事故によって瀕死の重傷を音楽活動から離れることになった。オークランドの路上で演奏することで再び音楽の世界に戻ったのが2014年。2016年にファンタスティック・ネグリート名義でアルバムをリリースした。グラミー賞で最優秀コンテンポラリー・ブルース・アルバムを受賞。その後3作連続でグラミー賞を獲得するなど、ブルースをベースにしながらもヒップホップやEDM的なエッセンスも散りばめらた音楽は革新的であり、現代最高峰のブルースマンのひとりと賞賛されている。
The Inspector Cluzo(ジ・インスペクター・クルーゾ/フランス)
2008年に結成。以降、自主レーベルからのリリースにこだわってきた。このバンドに注目したいのが主な活動として「農業」をあげていることだ。フランス・ガスコーニュ地方で15ヘクタールのファミリーファームを経営し、有機小麦と有機トウモロコシを自家採種している。遺伝子組み換えは一切使わず、フリーシードのみで生産し、化学肥料も農薬も使わない。日本でも半農半音楽のミュージシャンは増えているけれど、その先駆的な存在と言えるだろう。どこか郷愁のあるメロディも彼らの真からのオーガニック感が生み出すものであり、フランスの農園をイメージさせてくれる。
BOHEMIAN BETYARS(ボヘミアンベティヤーズ/ハンガリー)
フジロックでも数々の熱いライブを展開してくれた東欧のジプシーバンド。ボヘミアンベティヤーズは2009年にハンガリーで結成。スピード・フォーク・フリーク・パンク・バンドと表現され、ハンガリー人特有の喜怒哀楽をライブでも表現するという。パンク、スカ、メスティーソ、サイケデリック、ハンガリーのルーツ音楽、バルカン、ジプシーなどなどを混血させた音楽。フジロックで体験した東欧系のバンドの多くがそうであったように、エネルギッシュなライブは、ハッピー全開な気分にさせてくれることは間違いない。
日本人アーティストでも、9月9日の東京国際フォーラムでのライブが「一般のホール公演」としては最後のパフォーマンスになった加山雄三さんの、最後の野外フェスとなる朝霧JAMでのライブは忘れられないものになるだろう。
それぞれのバックボーンにある物語を知って音楽を聞く、ライブを見る。今年の朝霧JAMには、そんな楽しみ方もある。
It's a beautiful day Camp in 朝霧JAM 2022
開催日:10月8日(土)〜9日(日)
会場:富士山麓 朝霧アリーナ · ふもとっぱら
10月8日(土):THE ALEXX、Cwondo、EGO-WRAPPIN' [Acoustic Set]、The Inspector Cluzo、カネコアヤノ、君島大空、いとうせいこう is the poet with 満島ひかり、Tempalay、TESTSET (砂原良徳×LEO今井×白根賢一×永井聖一) 、VEGYN、YOGEE NEW WAVES、YONA YONA WEEKENDERS、本門寺重須孝行太鼓保存会
10月9日(日):ALFIE TEMPLEMAN、BIM&VaVa、BOHEMIAN BETYARS、Daichi Yamamoto、DJ KOCO a.k.a. SHIMOKITA、FANTASTIC NEGRITO、羊文学、加山雄三、neco眠る、never young beach、ROOT SOUL、STUTS [BAND SET]、Takuro Okada、yonawo