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味わい、自然、音楽と人。この共鳴は、文化である ── 「いいちこ」とフジロックのいい関係。
2023.07.22 Sat
── 場所とそこで暮らす人々が醸し出す「味わい=文化」を大切にすることは、私たちが暮らしていくうえでの原点です。文化は、場所の対象に向き合い、素材や繋がりを大切にしながら、じっくりと磨きあげることによってはじめて、独自の豊かな世界を創造し、経済や生活もそこから生み出されてゆきます。
現代産業社会のなかで、見えなくなりつつある固有の文化(そこに生きる人々をとりまく自然や精神や心・道具の技術)。これらをもう一度掘り起こし、見直し、産業社会とのバランスある関わりをとらえてゆく。言い換えるなら、私たちがいま「生活する文化」とは何か、をしっかりと見据えてゆくために……。
これは、大分の本格麦焼酎「いいちこ」を製造する三和酒類のホームページに掲載されている一文の抜粋である。同社は1986年から『季刊iichiko』という文化学の雑誌を刊行しているが、その紹介文にある一節だ。
「いいちこ」といえば、自然のなかにとけ込むかのように小さく置かれたひと瓶の焼酎と印象的なコピーを添えているポスター広告を思い出す人も多いと思う。酒飲みであれば、「下町のナポレオン」だったり、「iichiko」というブランドロゴにもなじみがあると思うが、三和酒類という企業は、むかしからデザインだったり、文化だったり、イメージだったりをとても大切にしている。前出の季刊誌の出版も、自然や文化を大切にし続けてきた姿勢の現れのひとつ。これらの興味深い取り組みは、三和酒類の「社風」ともいえるだろう。
さて、この社風ならではといおうか、「いいちこ」がフジロックにも参戦していることはご存知だろうか。
初参戦の2018年のフジロックでは、レッドマーキーの前にブースを構えた「いいちこ」。
そのきっかけは、BEAMS JAPANとのコラボだというから、なおさらおもしろい。「2017年からデジタル施策などで少しずつ新たな取り組みを行うようになってきた」というなかで、BEAMS JAPANとのコラボレーションアイテムが次々と生み出されていく。BEAMSがデザインした限定ボトルやロゴを生かしたキャップやTシャツ、トレーナーなど数々の驚きのアイテムがつくられていった。BEAMSといえば当時、フジロックとの関係も深く、その流れのなかで「いいちこ」は、苗場への参戦を決めている。
「いいちこ」とBEAMSの繋がりも意外性という意味で注目されたが、さらになぜフジロックなのだろう? このあたりの経緯を2022年から出店の担当となった同社CCRN Design Centerの三浦謙太さんに聞いてみた。その理由には、なるほどと納得してしまう。
── われわれの造っている酒は「穀物」を酵母や麹といった菌の力を借りて造り出されるものです。陽・水・土・風といった自然の力なくしては生まれません。つまり酒は工業製品ではなく、「自然と人の関わりのなかで生まれてきたもの」ということを根底にさまざまな活動をしています。そういった部分で、フジロックが当初からスローガンとして掲げている「自然と音楽の共生をめざす」という部分に親和性を感じているのがいちばんの理由です。
これは、冒頭の『季刊iichiko』にも共通する考え方で、自然と人、場所と文化との繋がりという視点に立脚しているからこそ生まれてくる考え方だ。酒は工業製品ではなく、「自然と人の関わりのなかで生まれてきたもの」。これが「自然と音楽、そして人」との繋がりを求め続けてきたフジロックに、三和酒類が共鳴した理由だろう。
2018年には、インスタグラムでのハッシュタグキャンペーンも実施した。#いいちこ男子、#いいちこ女子をつけてアップすると、写真のプリントがもらえる仕組みに。
「いいちこ」がフジロックにはじめて参戦したのは2018年だった。場所はレッドマーキー前にある広場の一角。前夜祭は木曜日から始まるが、そこから日曜日の終演まで一気に駆け抜けていく。怒涛の4日間である。当時はフェスへの参加が初めてだったこともあり、たくさんの驚きと戸惑い、そして予想をこえるほどの手応えもあったようで、スタッフ一同、大いなる疲労と大きな喜びがあったようだ。
── フェスの現場では、お客さんと三和酒類社員との出会いも大切にしています。いいちこブースの運営は、大分から出張ってきた社員たちががんばっています。製造部門、研究部門などふだんはお客さんとはあまり関われない部署も含めて、いろいろな部署からメンバーを編成して参戦しています。超満員のステージに、人混みをかいくぐり「いいちこ」ブースに足を運んでくれる方々、真夜中までつづくタイムテーブルに対応するのも最初は手探りで、なかなか大変な試練の4日間です(笑)。しかし、多くの方が笑顔になって、いい時間を過ごすイベントの一翼をすこしでも担えたならば、それは本当に嬉しいことです。また、自分たちが携わった商品が実際に楽しまれている様子を見ると、日々の酒造りに対する情熱が一層高まります。またとないこの機会に、社員はお客さんとのいいコミュニケーションをとってもらえたと思っています。これからも、そうでありたい。
レッドマーキー前という好立地もあってか、2018年の「いいちこ」ブースは昼夜に関係なく、大いなる盛り上がりを見せる。
所属部署もちがう三和酒類のスタッフたちが、4日間のブースを守り抜きました!
では、どんな「いいちこ」がフジの現場で飲めるのだろう。と、その前に、「いいちこ」とフェスの相性についても触れておきたい。「いいちこ」がいまや日本を代表する麦焼酎のひとつであることは、まちがいない。その誕生は1979年というから、もう44年。クセがなくて飲みやすく、フルーティーな香りが残るこの麦焼酎は、いまなお人々に愛されるロングセラーである。
── だからこそ、「いいちこ」とフェスの相性はいいと思っています。「いいちこ」の「まろやかで飲み飽きしない」というところがポイントで、炭酸系からお茶系などさまざまなもので割って飲むことができるし、ホット系の飲み方もできる。その日の体調や天候など状況に対応して、楽しめるのが相性のよさだと思います。自然といっしょになって、そのときどきの飲み方ができるんです。
苗場の標高は1,000mに近い。もちろん、山の中である。昼間は暑いときがあっても、夕方から夜に掛けては気温がグンと下がることもある。暑いときには涼しげに飲み、寒いときには湯気を楽しみながら。なるほど「いいちこ」の幅の広さは、フェス向きかもしれない。
2023年のフジロックで、「いいちこ」を楽しむには……今年は、レッドマーキー前ではなく、オアシスでの展開を予定している。数万人の胃袋を満たすフードのアミューズメントパークに、「いいちこ」ブースの登場である。商品のラインナップは、「いい茶こ」「いいちこ下町のハイボール REGULAR BLEND」「いいちこ下町のハイボール Lemo-chiko」「カボちこ」の4種類。さらに、フェス限定のトッピングメニューもあるというから楽しみだ。
今年の「いいちこ」ブースは、オアシスにあります。いちばんトライしてもらいたいのは、冷やしてもよし、あたためてもよしの「いい茶こ」です。
フジで楽しめる、今年のメニューはこちら。いい茶こはもちろん、できれば、全部トライして欲しいです!!
最後に、三浦さんからのコメントをもうひとつ。
── 「いいちこ」がフジロックを楽しむためのさらなる相棒になれれば、と心から願っています!
あ〜「いいちこ」、飲みたくなってきた。フジロックももう直ぐ。早く、オアシスに行かねば!!