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2万人が利用! フジロックの巨大テントビレッジ滞在ハウツー キャンプ編(後編)

2023.07.15 Sat


2万人が寝食を共にする
テント泊を快適に過ごす極意! キャンプ編(前編)

フジロックを訪れる人のなかでもっとも利用が多い宿泊手段が「キャンプ」だ。キャンプの住環境はホテルや民宿には及ばないかもしれないが、その反面昼夜問わずフジロックとともにあるという不思議な高揚感がキャンプサイト一帯を包んでいる。事前に行なったアンケートでは40%近い人たちが「キャンプ経験があまりない/ない」と答えているが、何も不安になることはない。4夜限りの巨大テントビレッジには寝食を共にする2万人の"家族"がいて、助け合いの暮らしが営まれている。

フジロックの会場内を快適にすごすハウツー「会場編」に続き、次は「キャンプ編」の後編をお届けする。

前編はこちら⇒


Q.風雨に耐えられるか不安なんですが⋯⋯
A.正しいテントを正しく張る。それが最大のポイントです。
しとしとと降り続く冷たい雨から、スコールのような豪雨まで苗場の雨はさまざま。キャンプでは粗悪品でない正規のキャンプ用テントを、正しい張り方で設営できるかがポイント。不慣れな人は明るいうちに到着して張るのがベター。

テントの仕組みを理解して正しく設営すればこわくない!
大半のテントは、就寝スペースとなるテントの本体と、フライシート(本体の上にかける覆い)の二重構造で、数本のポール(骨組み)をクロスさせて設営するのが基本。防水対策の肝はこのフライシートをピンと張って本体との間に空間を作ることにある。弛んで生地同士が触れ合った状態ではそこからジワジワと浸水してしまうが、付属の張り網でフライシートをピンと張ることで雨水はフライシート上を流れ落ちてくれる。初めてたてる人は必ず来る前に一度練習を!
ドーム型とよばれるテントは内部も広く居住性が高い。フェスは荷物も少なくないので、使用する人数より広めを選ぶと快適だ(ロゴス
右/基本的な張り網の使い方:ポールが突き出ている方向の延長上4ヶ所に貼り綱を延ばす。延ばした張り網はペグでしっかり地面に固定し、弛みを調整してテンションをかける。こうすることで強風にも強くなる。左/強度を高める場合:強風が予想され、貼り綱の数に余裕があるときはさらに強化。図のように真上からみたときにポールから直角に2本張り網が出るように取り付け、固定すれば強度はさらに高まる。


テントの経年劣化や安価製品に注意
毎年テントのトラブルでスタッフに相談が寄せられるのがポールの破損。とくにグラスファイバー製は経年劣化が顕著で継ぎ目が折れやすい。必ず事前に―度たてること。またディスカウントショップなどで販売されている価格が数千円という安価な粗悪品はテントの形をしているだけで、ほぼテントにあらず。風雨の強さ次第ではひとたまりもなく、要注意だ。


窪地を避け、水はけのよいところを見極める
テントを設営する場合は周辺の様子をよく見よう。晴れていると気がつかないことも多いが、雨水の通り道や、水が溜まってしまうような窪地などは避けて、一段高くなった水はけの良い場所を選ぼう。風向きにも注意して、枯れた木の近くなども避けてテントを張るのがベター。



絶対に濡らしたくないものは防水バッグに入れる
どんなにテントの防水対策をしても、予想を上回る豪雨で浸水することもある。着替えやタオル、寝袋など絶対に濡らしたくないものは完全防水のバッグに入れておこう。
左/台風が直撃した2019年のキャンプサイトの様子。キャンプよろず相談所スタッフのテントでさえも浸水するなど、どんなに正しく設営をしても荒天に抗えないこともある。右/さまざまなサイズ展開がある完全防水の収納バッグ(アウトドアリサーチ


フジロックはタープNG。撤去迫られます
ライブ会場へ人々が出払っているタイミングでも容赦なくやってくる突然の強い風雨。キャンプサイトではテントやタープが吹き飛ぶトラブルが頻発し、現在はポールとロープで張るオープンタイプのタープは使用不可となっている。


Q.シャワーやお風呂は快適ですか?
A.混む時間帯を避ければかなり快適です。
キャンプサイト入口近くにはシャワー、さらに苗場プリンスホテルが運営する「苗場温泉」もある。こういった水場や入浴施設などの公共設備は当然ながら混雑する時間帯が重なる。ピークタイムを外して利用すれば思いのほか快適に使うことができる。

シャワー三種の神器
「シャワーは簡易施設なので棚や、すのこなどがありません。この3つを準備すると快適」。写真は脱いだ服やタオルをかけておくS字フック、シャワーだけでなくテントでも便利なサンダル(KEEN)、数時間で乾くマイクロファイバー製の速乾タオル(コクーン


Q.火器類は使えますか?
A.BBQ専用エリアが24時間使えますよ!
キャンプサイトの一番下にある飲食スペース前はBBQエリア。芝地であるキャンプサイト内は火器の使用は厳禁だが、ここなら24時間火が使え、BBQや煮炊きをいつでも自由に行なうことができる。


Q.キャンプで役立つTIPS知りたいです。
「雨で濡れてしまった靴の湿気取りに新聞紙が重宝。タオルなどを干すピンチハンガーもひとつあると便利!」

「仲間で一緒に使う大型テントも楽しくていいけど、小型テントの方が空きスペースに張りやすく、プライベート空間も確保できる」

「ライブから返ってきたらテントが乱立していて、高確率でマイテントを見失う! 目印は必須。掲げられるタイプが目立ちます」

上/「ライトは片手で持つ懐中電灯タイプもいいけど、両手が空くヘッドランプは真夜中のテント内で超便利」。写真は手をかざすだけで簡単に点灯・消灯ができるノンタッチモード搭載(ロゴス)。下/「仲間と連絡を取るだけでなく、ライブのタイムスケジュール確認からキャッシュレスの支払まで終日使うスマホの充電は不可欠! 人数分をカバーできる容量のポータブル電源がひとつあると安心」。写真の機種はスマホなら約55回の充電が可能(ジャクリ


Q.キャンプのお困りごと、誰に相談すればよい?
A.「キャンプよろず相談所」が頼りになりますよ。
キャンプにまつわるじつに様々な相談を一手に受け、できる限り解決に導くのがキャンプサイト入口横にある「キャンプよろず相談所」。自力でどうにもならない困りごとが発生した場合はこちらにご相談を。
キャンプよろず相談所では翌日のライブの見どころをプロが解説する「フジロックコンシェルジュ」も毎夜よろず前で開催。飛び入りでアーティストの参加があることもある。




 

●『FESTIVAL ECHO』 配布場所
は岩盤、TOWER RECORDS、KEEN、CHUMS、LOGOS、OSHMAN’S、アルペンアウトドアーズ、WILD-1など販売店 ※一部店舗を除く/随時配布



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