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【UAインタビュー】25年も継続するフジロックとの関係
2023.07.20 Thu
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ
四半世紀に及ぶフジロックの歴史をステージから見届けているアーティストのひとりであるUA。自然と共生する音楽の場の魅力を、今年のヘブンでも放ってくれるのは間違いない。
ー フジロック初出演は、苗場で初開催された1999年でした。
自分のライブはBOREDOMSの後で「エライコッチャ」って思ってたんですよね。真昼間だし、大きいし、怖いなあって。こう見えて緊張しいで、前の日は眠れなかったから。ライブ中、私のマイクにトンボが止まってくれて、それでなんかすごいほっこりしちゃって。それが私のフジロックでの最初の体験。やっぱり野外はいいな、野外専門になりたいって気持ちになって。
ー 苗場のフジロックに行って、どんなことを感じましたか。
とにかく、フィールド・オブ・ヘブンっていう場所が放射しているエネルギーというかモチベーションがすごいなって思って。エッジなアートも好きなんだけど、アメリカのヒッピームーブメントというか、グレイトフルデッドから受け継がれているカルチャーの流れにもすごく憧れがあったんですね。その年は3日間ともいて「すごいなフジロック」って思ったよね。
ー UAとしてだけではなく、忌野清志郎さんのトリビュートやフィッシュマンズなど、10回以上出演しています。コロナ禍の2021年にはAJICOでのライブでした。
コロナ禍でいろんなルールがあるなかでの開催。全体の雰囲気には緊張感もあって、そんな状況で自分はどんな気持ちになるんだろうっていう怖さもあったんだけど、現実にはものすごく熱いものが伝わってきて。ちょっと泣きそうになってたのね。
ー その感覚は、フェスに限らずライブがそれほどやれていなかったことが要因としてあって?
ラッキーなことに、自分はライブをやれてたんだわ。だから自分がっていうわけではなくて。お酒も飲んでないし、声も出せない。暑いのにマスクもしている。ストイックな状態だからこその、なんかを感じ取りたいという意志。そんな吸引力が自分にも伝わってきて、一字一句丁寧に歌わなきゃみたいな気持ちになって。音楽ってものすごい表現形態なんだなって、しみじみ思い直して。ステージに立つ人間として生まれてきたことが本当に
至福なことなんだなって思えて。
ー UAとして今年の出演が決まってどんなことを思いましたか。
去年『Are U Romantic?』をリリースして、今のバンドセットをはじめて。シンセサイザーを効かせたり、最初の頃は試行錯誤を繰り返していたのね。丁寧にライブを続けてきて、今がちょうどバンドの第1章を終えようとしている頃で。この1年で重ねてきた今のUAの「ポップ」。現在のバンドの集大成的なものを見せられたらっていう意味で、最適なタイミングだったんですよ。
ー UAにとってフジロックとはどんな存在なのですか?
私を、UAとして育ててくれたっていうことは間違いないし。今回はフィールド・オブ・ヘブンで、原点に還る的な思いはあるよね。それから次のフジロックがどうなっていくのかっていうことへの興味もつきないし。フジロックは日本にあって当然っていうか、日本の夏の風物詩だっていう感じもしているから。
苗場初開催の1999年にグリーンステージでライブしたUA。フジロックでは初の日本人女性アーティストの出演だった。UA自身のライブだけではなく、2021年のAJICOや2022年のROUTE 17 Rock'n'Roll ORCHESTRAなど、フジロックへの出演は10回以上に及ぶ。昨年、オリジナル作品としては6年ぶりとなるEP『Are U Romantic?』をリリース。このアルバムで展開された「ポップ」な世界観が7月29日のフィールド・オブ・ヘブンに鳴り渡る。
https://uaua.jp/
●『FESTIVAL ECHO』 配布場所 は岩盤、TOWER RECORDS、KEEN、CHUMS、LOGOS、OSHMAN’S、アルペンアウトドアーズ、WILD-1など販売店 ※一部店舗を除く/随時配布