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フジロック超直前! 今年は天候リスクに加えてクマなどの野生動物にも注意! 

2023.07.27 Thu

滝沢守生(タキザー) よろず編集制作請負


フジロックフェスティバルが開催される会場は、ブナやミズナラなどの豊かな森に囲まれた標高1000mに近い山岳地です。そこには、さまざまな野生の動物が生息しています。なかでもいちばん大きな動物がツキノワグマです。クマは自然の豊かさの象徴でもあり、会場周辺にも数多くのクマが生息しています。しかし、今年ほどクマの姿を見かけることはこれまでありませんでした。

わたしたちキャンプよろず相談所のスタッフは、1週間ほど前から会場入りしてキャンプサイトの設営を始めます。フジロックのキャンプサイトは、もともとゴルフ場だった場所を利用しているので見通しもよく、まだひとつもテントが張られていないサイトはとても静かです。しかし、誰もいないはずのキャンプサイトの上の方を見てみると、何やら黒い影が二つゆっくりと動いています。目を凝らしてよく見てみると、なんとツキノワグマの親子でした。距離はおよそ100メートルほど。じっと見ていると、こちらに気づいたのか、ノソノソと森の中へと入っていきました。地元の方にその話をすると、今年は特に県内でもクマの目撃例が多く、会場周辺でも注意喚起をしているとのこと。さすがにフジロック本番中は来場者も多く、ステージからの音もあって、わざわざ山から降りて会場に近づくことはないだろうとのことですが、そもそも、たくさんの動物たちが住んでいる場所でイベントを開催させてもらっているという、自然に対する謙虚な気持ちを忘れてはなりません。

ツキノワグマは本来おとなしく、人との距離をとって森の中で生活しています。そして春から夏にかけて活発に行動します。特に木の実が凶作の年は食物を求めて活動範囲を広げます。そこで私たちが注意しなければならないのは、クマに会ったらどうすれば良いのかではなく、会わないようにするために、人里に近づけないようにすることです。クマはドングリやブナの実のほかフキやタケノコなど、なんでも食べます。人が美味しいものはクマにとっても美味しいのです。いちど人間の食べ物の味を知ってしまったクマは、人の食べ物があるところへと近づいてきます。それはクマだけではなく、会場周辺に住むサルやアナグマにとっても同じです。昨年、フジロックの会場に視察でお越しいただいた、京都大学名誉教授であり生態学者の湯本貴和先生からも「まずキャンプサイトや会場でのごみや残飯の処理を確実にして、ここが餌場だとクマに認識させないことがいちばん大事です」とのアドバイスをいただきました。

自然との共生を掲げるフジロックではこれまで、雨風や気温、日焼けや熱中症などの気象リスクなど、さまざまな野外におけるリスクについて注意を促してきましたが、会場周辺に生息する野生動物を守る意味でも、自分の身を守る意味でも、来場される方は、以下のことに十分注意をしてください。

•会場内の山林に食べ残しや生ごみなどを捨てない。
•ごみや食べ物をキャンプサイトやテント内に放置しない。
•食べ物や生ごみで餌付けをしない。
•早朝や夜間は出会う可能性が高くなるので注意しよう。
•クマの隠れ場所*になりそうなところを歩くときは注意しよう。
*見通しの悪いところや狭い沢沿い。山や森とつながっている林や川沿いのやぶ。
•声や鈴でクマに自分の存在を知らせよう。
•クマに出会う恐れのあるところでは走るのはやめましょう。

クマの生息地の近くで人のちょっとした不注意、不適切な行動がクマをおびきよせ、人里に降りてきたクマが人に危害を加え、害獣となったクマはやがて人の手によって殺されてしまうかもしれません。あのかわいい子熊の親子を殺してしまうのは、あなたかもしれません。フジロックの公式ホームページでも、会場内禁止行為として、サルなど野生動物への餌付けについて、以下のように、注意喚起していますので、来場されるお客様は注意事項をあらためてご確認ください。

野生動物への餌付けについて
意図せず食品やゴミなどを放置すると、野生動物のエサとなり、その結果キャンプ場などに出没し被害が発生する可能性があります。野生動物と人がうまく棲み分け、共存していくために、野生動物をおびきよせる行為はおやめください。



 



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滝沢守生(タキザー) よろず編集制作請負

本サイト『Akimama』の配信をはじめ、野外イベントの運営制作を行なう「キャンプよろず相談所」を主宰する株式会社ヨンロクニ代表。学生時代より長年にわたり、国内外で登山活動を展開し、その後、専門出版社である山と溪谷社に入社。『山と溪谷』『Outdoor』『Rock & Snow』などの雑誌や書籍編集に携わった後、独立し、現在に至る。日本山岳会会員。コンサベーション・アライアンス・ジャパン事務局長。

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