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小さなフェスをどう持続させていくのか。ワーカーズコープが主催する「森のこしかけ」にその答えがある?
2024.09.03 Tue
菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ
「持続可能で活力ある地域社会の実現に資することを目的とする」ことが法律で定められているワーカーズコープ(労働者協同組合)。ワーカーズコープが主催する、おそらく日本で唯一のキャンプインフェス「Mori no Koshikake Music & Art Festival(森のこしかけ)」が、9月に長野県飯綱高原で行われる。「みんなでやる、みんなのための、地域おこし」をコンセプトにした「森のこしかけ」の初回はコロナ禍の2022年。今年で3回目の開催となる。
「ワーカーズコープ、労働者協同組合とは、地域おこしに特化したNPO法人のようなものです。ワーカーズコープという形にしたのは、個人で継続的にフェスを開催するのには限界があり、持続的なイベントを続けるには主体性を持って関わってくれる人たちを集め、収益化する必要があると考えたためです。また、ワーカーズコープは日本ではまだ知られていませんが、世界には数百万ものワーカーズコープがあり、将来的に世界中のワーカーズコープとのつながりを作り、連携していきたいという思いもありました」と「森のこしかけ」のオーガナイザー。
会場は飯綱高原の湖とカラマツ林に囲まれたキャンプ場。2022年に「森の駅 Daizahoushi」と5つのフィールドからなる施設「nagano forest village」としてリニューアルオープンした場所だ。
「飯綱高原は市街地から約15分でアクセスできる、都市からの距離がちょうどいい田舎です。夏は涼しく、晴れた日の夜には満天の星空が広がります。コンビニはありませんが、個性豊かな個人経営のお店が点在しており、どのお店の人も親切です。国際的な住民も多く、びっくりするくらい多様性があります。雄大な自然の中で、あまり不便を感じず、静かにゆったりとした時間を過ごせる癒しの空間です」
長野在住のミュージシャン、THE FACTORSの宮下ジョディ天空が音楽ディレクターを務めていることから、ラインナップもオーガニックなフェスではおなじみのアーティストたちがそろった。ライブだけではなく、マッシュルームツアーや薬草ツアーなど、ここにしかないコンテンツも実施される。飲食ブースは約25店舗、クラフト系などの物販ブースは約25店舗の出店が予定されていて、長野ならではの味やクラフトにも出会えるはずだ。
「『森のこしかけ』はみんなが笑顔になれる『文化』をつくるフェスティバルです。開催まであと1週間を切り、運営スタッフ・ボランティア一同、毎日遅くまで準備に励んでいます。ぜひ会場まで足を運んで、本当に自分らしくいられるコミュニティを体験しに来てください。きっとまた帰ってきたいと思ってもらえるはずですから」。
主催するワーカーズコープのメンバーは20代から70代まで16名。持続可能なフェスのあり方を探りながら、フェスを通してその地域の魅力をどう伝えていくのか。その実践の場が「森のこしかけ」なのだろう。
Mori no Koshikake Music & Art Festival 2024
開催日:9月6日(金)〜8日(日)
会場:nagano forest village(長野県長野市)
出演:AO YOUNG、MARTEL、YAMAZIN、CHAN-MIKA BAND、THE FACTERS、ほか
https://www.koshikake.world/