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酢味噌ニアン、道草を食う。in 原っぱ

2013.02.04 Mon

 1年のなかでも、最も冷え込みの厳しい今日この頃ではありますが、ぐいぐいと伸びていく陽の長さに、確かな春の到来をみなさんも感じているのではないでしょうか。ふと寒さのゆるんだ晴れの日に里山に出かけてみると、気の早い山菜たちが芽を伸ばしているのに出くわすようにもなってきました。 

 里山でいちばん早く春が訪れるのは、陽のよく当たる南側の斜面。その斜面の際を谷から流れだした湧水の小川でも流れていれば、その川岸にはいっそう早く春が訪れています。

 こんな湧水の小川沿いには食べられる野草が多く生えています。湧水に半ば浸かるようにして生えているのはオランダガラシ。一般的には、クレソンという呼び名のほうが通りがよいでしょうか。「オランダ」の名の通り、この植物は外来種。アブラナ科特有の辛みと香気を持つ食べやすい野草です。オランダガラシよりも少し陸側に生えているのは、春の山菜の代表選手であるセリ。今時分はまだ葉が小さいですが、ひと口かじってみればあの爽やかな香りが口いっぱいに広がります。セリよりもさらに一段上がったところに生えているのは、ナズナを白くしたようなタネツケバナ。これもアブラナ科なので、咬んでみると菜の花のような香りと辛みを備えています。さらに川から離れ、少し乾いた土手に生えているのは、初心者にも見分けやすく、食べやすいノビル。ネギの仲間であるノビルは掘り上げてみると小さなタマネギのような球茎を持っており、この部分はエシャレットのような風味を持っています。

 まだ春浅い今頃では、お腹いっぱいというわけにはいきませんが、簡単な道具と調味料を持っていけば、これらの「里山からのおすそわけ」に与ることができます。用意すべき道具は簡単なストーブと「酢味噌」。湧水をストーブで沸かし、これに野草をさっとくぐらせて酢味噌で和えれば、春の訪れを舌でも喜ぶことができます。もちろん携える調味料は別のものでもよいのですが、チューブタイプの酢味噌は携行性に優れるだけでなく、日本の山野草の味に実に合います。

 このコーナーは食べられる野草の見分け方を解説をするには、あまりにもスペースが足りないので専門書にゆずりますが、いくつかの食べやすく、見分けやすい野草を覚えてかじってみるだけで、「お客様」として訪れていた里山に「ご近所さん」として交われたような気分になるはずです。近々里山散歩に出かける方には、荷物のなかに酢味噌を加えることをおすすめしたいと思います。たとえ山野草に出会えなくても、酢味噌をもっていくだけでこれまでとは風景がまったく違って見えるはずです。
                                                                                        
※山野草によく似た毒草もあります。同定に自信がない場合は決して口にしないようにしましょう。また、都市近郊の里山は私有地の場合があります。採集は地権者の許可を得てから行ないましょう。

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