- 料理
今そこにある、ニラ。 「野良ニラ」を収穫せよ!
2014.09.23 Tue
藤原祥弘 アウトドアライター、編集者
芽吹いたばかりのケヤキ、満開のサクラ、黄葉したイチョウ……。普段はほかの植物に紛れていても、そのタイミングが訪れた途端に植物たちはハッとするような光を放ちます。
誰もが「この町に、こんなにもサクラ(あるいはケヤキ、イチョウ)があったのか!」と驚いたことがあるのではないでしょうか。
そしていま、全国の草むらで輝きを放ち、我が世の秋を謳歌している植物があることにみなさんは気づいていたでしょうか?
その植物とはレバー、卵との相性が抜群で、餃子には欠かせないあの食材。
そうです。ニラです。いま、輝いているんです。ニラが!
中国原産とも、元々日本に自生していたともいわれるニラ。古い時代から栽培され続け、日本の気候にもよく合っているニラは、野生化したものが道端や河川敷の土手によく繁茂しています。
しかし、普段はあのとおりの自己主張が控えめな姿なので、踏みしだかれてにおいでも発しなければ、なかなかそこにニラが生えているとは気づきづらい植物でもあります。
そんなニラが、1年のうち一度だけ、他の野草よりも目立つのがこの季節。晩夏から初秋にかけて開花するニラの花が、あちこちで満開になっています。小さな白い星を集めたような球状の花が、ほかに咲くものの少ない秋の野原のなかで、ひときわ明るい群落をつくっています。
花を見つけ、葉を揉んでニラと確認できたらしめたもの。晩ご飯に必要な分はものの5分で集められてしまいます。根株さえ残っていれば、すぐに新しい葉を出すので、葉を摘むときは根元から数センチ上で摘むようにしましょう。
花のついている穂は硬いので食べられませんが、すでに花から実になっている株を選んで摘めば、葉とともに種つきの穂の収穫もできてしまいます。こちらの種は、庭先に蒔いておけば、1〜2年後には収穫できる大きさにまで育ちます。
収穫時、注意したいのがニラとそのほかの毒草を間違える食中毒。
スイセン、スズランなどは野良のニラと間違いやすく、また、同所的に生えていることもあるので、同定に自信が無い人は、一株ずつにおいを確かめながら収穫することをおすすめします。そしてもちろん、ニラを摘むときは人様の庭や土地から採集することがないようご注意を。
花が咲いているうちに見つけておけば、専用のニラ畑を手に入れたようなもの。旬のある山野草と違って、真冬以外1年中食べられることもニラの魅力です。
野良ニラがあなたに向かって「私、ここにいるのよ!」とサインを発してくれるのはあとひと月ほど。お出かけの際は、ニラセンサーを全開にしておくことをおすすめします。
(文=藤原祥弘)