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料理研究家おすすめの「キャンプで使いたい家庭用鍋3」
2016.02.18 Thu
DILL eat,life.山戸浩介・ユカ夫妻 DILL eat,life. オーナー
アウトドアで料理をするとき、当たり前のようにアウトドアメーカーが発売しているアルミやステンレスの鍋、ダッチオーブンやバーベキューグリルを使う人が多いと思いますが、年に数回しかキャンプに行かない人にとって、値段の高い専用の鍋を購入するのはなかなかハードルが高いのもの事実。
アウトドア専用としてしまうと保管場所も必要で、久しぶりに出したダッチオーブンやグリルがサビだらけ!! なんてことにもなりかねません。
そんな方におすすめしたいのが、普段家庭で使っている鍋をそのまま野外で使うということ。ただでさえ野外という普段とは勝手の違う場所。普段使わない調理器具を使っておいしい料理を作るのはそれなりの覚悟と経験が必要になります。でも使い慣れている鍋だったらそのリスクは少なくなるはず。
今回は車で行くことが前提ですが、私が普段キャンプにも使っている家庭用の鍋を3つ紹介したいと思います。
タジン
7~8年前に一大ブームとなったタジン鍋。購入したものの、ブームが去ってそのまま戸棚の奥にしまいっぱなしになっている人も多いのではないでしょうか。
そもそもタジンは、モロッコの家庭やレストランで使われている蒸し焼き用土鍋なのですが、モロッコではガスコンロだけでなく、炭火を使って調理している人もいるほど丈夫な鍋です。我が家のタジンは10年ほど前にモロッコを旅した際に露店で買った粗悪(よく言えば本場の)な物ですが、野菜やスパイスに漬けた肉を鍋に入れて蓋をし、弱火でじっくり蒸し焼きにするだけで驚くほど美味しい料理が出来上がる魔法の鍋です。
鍋自体がかなり厚手なので、火加減の難しいアウトドアにはもってこいの鍋と言えるでしょう。
中華鍋
焚き火でチャーハン作りを夢見る方にぜひ使っていただきたいのが中華鍋。
中華鍋は鍋の中でもずば抜けて薄く、炒める時に具材をひっくり返しやすいように設計された鍋です。鍋が薄い分熱伝導率が高く、水分を飛ばしながら炒めることができるので、フライパンで作るのとは驚くほどの差が出ます。さらに炒めるだけでなく、あっという間にお湯が沸くので茹でものをする時にも便利ですし、軽いため持ち運びに優れていることも付け加えておきましょう。
また中華鍋を家庭で使っていると知らず知らずのうちに油カスがこびり付き、本来の威力が発揮されにくくなるのですが、ゴーゴーと燃えさかる焚き火の炎でその油カスを焼き切れば、買った時のようにピカピカツルツルの鍋に復活しますよ(これを家庭のコンロでやろうと思うと火事になりかねないので要注意!!)
圧力鍋
アウトドアに圧力鍋~??と思われる方も多いでしょう。確かに少し重い。でもダッチオーブンよりも軽く短時間で調理ができる圧力鍋は、キャンプに行ったらしっかり遊びたい方にこそ使っていただきたい鍋のひとつです。
All Photo by Kosuke Yamato
トライポッドに吊るしたダッチオーブンでカレーをグツグツ煮るもの素敵でしょう。ですが、焚き火で煮込みを作るには途中で薪を足したり、火加減を調節したり……など、意外とずっと側についていなくてはならないのも事実。ガスやガソリン式のバーナーなら放っておけるかもしれませんが、その分燃料がたくさん必要になります。
その点圧力鍋なら、切った野菜や肉を油でさっと炒め、水を加えてフタをして着火。圧がかかったら弱火にして待つこと8分。圧が下がったらカレールーを溶けばできあがり!! お~なんと簡単なんでしょう。せっかく家族でキャンプに行ったのに結局お母さんは料理で一日終わってしまった……なんてかわいそうなことにならないためにも、圧力鍋は本気でオススメです。
(文=DILL山戸ユカ)