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外遊び派フードコーディネーターおすすめ!「キャンプの“お粥”は幸せが広がるごはん」

2016.04.07 Thu

蓮池陽子 フードコーディーネーター

「おいしい食」と「豊かな自然」との強い結びつきを感じながら
活動するフードコーディーネーター蓮池陽子さんが
Akimamaで連載をスタート!
初回に続き、第2回も私たちの主食「ごはん」にまつわるお話です。

「おかゆ」といえば風邪ひきさんや、胃腸が弱っているときに食べたり、その消化よさから離乳食などになったり……と、カラダに優しい!というイメージ。

 ですが、レトルトや白がゆはやや味気ない印象があるのではないでしょうか? 今回はキャンプにもオススメの味わい深いおかゆ3種をご紹介します。

 そもそも、なぜキャンプで「おかゆ」?

 と言うのもキャンプの夜は星空に焚火、愉快な会話、おいしいおつまみ……などと、お酒が進む条件が完璧に揃っています。つらいのは、飲みすぎた結果待ちうける翌朝の二日酔いだったりします。

 そんな時こそ「おかゆ」の出番なんですね。

オススメその①「茶がゆ」

お茶の香ばしさが食欲をそそる「茶がゆ」。ポイントはおいしいお茶を使うこと。
 ほうじ茶や番茶をたっぷりと煮だし、洗ったお米を投入して茹でます。少し塩を加えて、米が食べられる固さになったら完成です。

 食感はあまりドロリとさせず、サラリと仕上げるのが茶がゆの特徴。器に盛ったら葉とうがらしや梅干しなどを添えて完成。寒い日も去ることながら、真夏の暑い朝にもとってもオススメ。

 お茶の香ばしさが食欲をそそり、するりと胃に落ち着きます。またこれは冷たくてもおいしいのもポイント。茶がゆは奈良が有名ですが、民族学者の宮本常一先生の本によれば、瀬戸内などでも食べられていたと書いてあります。ワタクシ的には、こんなおいしいおかゆを全国で作らないなんて……。ポイントはただひとつ、美味しいお茶を使うことです。

オススメその②寒い日に本当にオススメの「心平がゆ」

ゴマ油で作る「心平がゆ」。ショウガやネギ、ザーサイなどの薬味を添えて!
 詩人・草野心平さんのレシピで、米:ゴマ油:水=1:1:15の配合で鍋に入れコトコトコトコト炊くだけ。前の日の残り火があれば、それで炊くなんてとても贅沢ですね。

 こちらは、白米もおいしいのですが、お赤飯(コンビニのおむすびでも!)で作ってもとてもおいしいです。分量はお赤飯のおむすび2個に対して80〜100mlのゴマ油、1リットルの水を用意しましょう。煮込むほどにゴマ油が乳化しておかゆになじみます。ドロッとしたお米の中へ油がサラリと入り込み、それがなんとも美味! 身体が芯から温まるので、焚き火が恋しい季節にこそ食べてほしいおかゆです。

 こちらには、塩、すりおろした生姜、みじん切りのネギ、ザーサイあたりを添えて食べてください。心平がゆのポイントは、怖がってごま油の量をケチらないこと。カロリーなど考えるとおいしい物はできません!

 お次は“おこげ”の香ばしさを楽しむ「おこげがゆ」です。

オススメその③「おこげがゆ」

簡単な「おこげのもと」でできてしまう「おこげがゆ」
 炊飯ジャーを持たない私は、ごはんを鍋で炊くことがほとんど。その嬉しいおまけが“おこげ”です。ごはんが炊けてパチパチといい音がしてきたらおこげができているしるし。おこげはそのまま食べてもよいのですが、鍋に残ったごはんに水を注ぎ、おかゆにするとまたこれがあとを引くおいしさなのです。

 でも、おかゆのためにわざわざごはんを炊くのは大変! そこで手軽なのは「おこげのもと」でまずは作ってみましょう。

 お米を磨いで水を切り、鍋でこんがりと煎ります(これは茶懐石でも使われる方法です)。そうしておこげのもととお米を鍋に入れ、通常よりもたっぷりのお水で炊く。これで「おこげがゆ」の完成です!

 面倒な方は煎る作業を省いて、お水の代わりにそば茶で代用してもよいです。そば茶はすでに煎りつけてあるものですので、そのままスープなどにも使えますよ。

上が代用品となる「そば茶」。下はお米を煎って作ったキツネ色の「おこげのもと」
 このおかゆにはおいしい漬物を添えて。画像は私の大好きな山形漬物の晩菊と青菜漬け。おこげがゆのポイントは、香ばしさです。真っ黒にしないで、上手なキツネ色に煎ってくださいね。

 では、最後の締めにおかゆのよいところをもうひとつ。

 それは、水を足せば量が増すところです。つまり、おいしくできたら人に分けてあげられること。隣のキャンプサイトの人にも分けてあげると、幸せが一層広がると思います。
 
 食べもので人を幸せにできるって、誰よりも自分が幸せなことですから!
(文=フードコーディネーター蓮池陽子)

蓮池陽子 フードコーディーネーター

フードコーディーネーター。都内ビストロ勤務を経て、料理・製菓講師に。その後アウトドアでの料理や、山菜など自ら採取をする中で、おいしい物と豊かな自然が密接な関係にあると開眼。「食」のストーリーを追い求め、登山や釣りなど本格的なアウトドア活動も行なっている。著書に『仕込んでいくから失敗しない66のレシピ キャンプの肉料理』(オークラ出版)。
Official Site:Atelier Story

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