- 料理
プロデューサーが語る! 笑顔の「丸“ほ”」誕生秘話
2016.07.24 Sun
テンマクデザイン アウトドアブランド
『Multi Hot-Sandwich Maker』の「ほ」の字がきれいに焼きあがると本当にみんなたのしい顔になる。この瞬間が本当にうれしい。フタとクッカー2種類が付いたホットサンドメーカーは今までにない発想で作った自信作だ。
ムササビウイングでおなじみの堀田貴之氏は冷蔵庫の残り物でおいしいホットサンドをその場でアレンジして作ってしまう達人でもある。
そんな堀田氏にある日「ホットサンドメーカー作ろうよ」とのお誘いをうけた。今市場に出回っているホットサンドメーカーでは作れないメニューがあるというのだ。
確かにホットサンドメーカーはハムとチーズが定番だが、いろんなメニューが作れたらキャンプの食事が楽しくなるなあ~と思い、また私自身もバウルーやスノーピーク、電気式といった3つのホットサンドメーカーを愛用していて、この企画は即スタートした。
さっそくお店で扱っているすべてのホットサンドメーカーを机に並べコンセプトを詰めていく。
まず堀田氏は深さのあるホットサンドメーカーが欲しいとのことだった。市場にそのような該当のものがなく、何度も話し合って深さを28mmに決定。一般的な深さの18mmもセットであわせて、2通り楽しめる今回の組み合わせになった。
深さ28mmの深型は「パン+具+パン+具+パン」と、パンを3枚挟んでホットサンドを作れ、また分厚いカツサンドを6枚切りで挟みボリュームのあるホットサンドも作れる。しかも焼きおにぎりにも対応する。鍋としても使いたいという希望も加味し、フタを浅くして焼面をギリギリまで深く設定した。
最後の仕上げに取りかかったとき、堀田氏がコールマンのランタンマークを見てひと言
「コレかっこええな〜! 俺も『ほ』って入れようかな〜(笑)」
分かりました! と事務所から紙とサインペンを持って堀田氏に「これに書いてください!」とお願いした。
そしてあの「丸ほ」を書いていただいた。このホットサンドイッチメーカーのトレードマーク、じつを言うと堀田氏の手書きをスキャンしデータ化したものなのである。
さらに焚火でも使えるように柄を少し長くしよう!など、徐々に今の形に到るコンセプトができあがった。ハンドルも堀田氏がバルサ材を削り出しデザインしたものだ。
そうしていよいよ完成したが、ひとつ重要な件が……。
さまざまなメニューが作れると言ってもレシピをお客様に伝えるにはどうしよう?ということだ。
一番手っ取り早いのは本だろう!と、レシピ本も同時に出版してしまった。無謀な提案に賛同いただいた出版社に感謝だ(今では台湾版も出るほど売れているらしい)。
本の撮影に3日ほどかかり、その間みんな食事は撮影に使ったホットサンド……。私は1日しかお手伝いできなかったが、いろんなメニューで飽きずに食べられた。3日いたスタッフも次々と登場するメニューを前にしても、最後まで飽きずにおいしくいただいたようだ。
今では「Multi Hot-Sandwich Maker」の日本大会まで行われるようになった。といってもイベント「ムササビの夜」で開催しているだけだが、大会でのお客様の発想は本当にすごい! こんなメニューができるんだと驚くことばかり。
私も炊飯にチャレンジ。
じつは0.75合までのお米も炊けることを発見。四角のインスタントラーメンもぎりぎり煮ることができる。水を少し入れブロッコリーやニンジン、鳥のササミなど入れて蒸すことも可能。
これらの蒸した食材に、スリゴマを挟んだだけのシンプルなホットサンドが本当にうまい。作り終わってみれば「焼く・煮る・炊く・蒸す・オーブン」など、本当にマルチなクッカーができあがったことに気付いた。
イベントでホットサンド体験を行なうと「こんなメニューが作れるんですね!」と驚いていただける。そして何よりも「丸ほ」がうれしいらしい。だからか「この『ほ』は何の『ほ』ですか?」ともよく聞かれる。
確かに私も堀田氏にきちんと聞いた覚えがない。ホットサンドのほ? 堀田氏のほ? でもやっぱり作ったみんながこのホットサンドを食べて「ほ!」としていただきたいとの願いを込めた「ほ」なのだと思っている。
(文=tent-Mark DESIGNSプロデューサー 根本 学)
TULSA TIME Multi Hot-Sandwich Maker
本体価格¥5,980+税
■総重量:約910g
フタ約90g
焼面(18mm深)約290g
焼面(28mm深)約330g
■サイズ:全長403mm
焼面 118×133mm、深さ 18/28mm 内寸
■材質 アルミニウム合金(フッ素樹脂加工)
ハンドル ステンレスほか
■収納ケース付き