• 料理

採れたて貝と海水でパスタを作るシンプルでぜいたくな海ごはん

2016.08.06 Sat

蓮池陽子 フードコーディーネーター

「おいしい食」と「豊かな自然」との強い結びつきを感じながら
活動するフードコーディーネーター蓮池陽子さん。
連載6回目は前回と趣向を変えて「海ごはん」について。

 アウトドアフードコーディネーター蓮池です。

 根っからの食いしん坊のワタクシは、山へ行っても海に行ってもいかにおいしいものを食べるか?ばかり考えています。

 今回は、シーズンまっただ中、海でのごはんの楽しみ方をご紹介したいと思います。

 じつは私、山で山菜を採るのと同じぐらい海で貝を採るのが好きなんです。

「貝殻拾い」なんてオトメなことには目もくれず、重要なのは“中身の詰まったおいしい貝”を探すこと(※漁業権のこともあるのでルールは正しく守った上で)。

 ですから、海に行く時は潮が大事でして、前回沖縄に行ったときも潮を見て予定を決めたぐらいです。

 この美しい貝は、宮古島の砂地で採ったものです。もちろん食べられます。

 あらかじめ貝を撒いている潮干狩り場と違い、簡単に採れないこともありますが、私から言わせるとそこがよいのです。手にコツっと当たった瞬間、よろこびがググッと増します。初めて訪ねた土地で貝なんてどこで採ったらよいか分からないのは私も同じ。でもどこへ言っても大概地元の方がいます。シンプルに聞けば教えてくれるものです。

 それはそうと、どんなに貝が好きと言っても、食べきれない量の貝を採るのはナンセンスです。その時おいしくいただける分の貝をとり、パスタにするのはどうでしょう?

 パスタ用の水は、海からとってくれば重たい水を持って行かなくてもOKです。もちろん、海水がキレイであればですけれどね!

 グツグツ沸かしてパスタを茹でます。

 調味料とちょっとした野菜とパスタで、簡単ですけれど充実したごはんがいただけます(私はワイン付きで!)。写真のように、海で落ちている木の板や大きめの流木があれば、その上に調味料やお皿、グラスをのせると砂がいっぱい付かないのでよいです。

 そんなふうにして作ったごはんは、私にとってはこれこそご馳走です。
 そしてこの時間がとても贅沢。

 トワイライトタイムは、お酒のおいしくなる時間。海で自作のテーブルで乾杯!というのはいかがでしょうか? テーブルの真ん中を少しくぼませ、パスタの時に使用した鍋を埋込めば、即興のワインクーラーの完成。鍋の周りの砂に水をかければ氷の溶ける速度が遅くなるかな?

 缶ビールでぶらぶら飲みながらもよいですが、ときには自分のいる空間をより豊かになるよう徹底的に遊んでみるのはどうでしょう? かけがえのない時間はお金だけでは買えないものです。

 ちなみに風の強い日は砂まみれになりますので注意してください!
(文=フードコーディーネーター蓮池陽子)

蓮池陽子 フードコーディーネーター

フードコーディーネーター。都内ビストロ勤務を経て、料理・製菓講師に。その後アウトドアでの料理や、山菜など自ら採取をする中で、おいしい物と豊かな自然が密接な関係にあると開眼。「食」のストーリーを追い求め、登山や釣りなど本格的なアウトドア活動も行なっている。著書に『仕込んでいくから失敗しない66のレシピ キャンプの肉料理』(オークラ出版)。
Official Site:Atelier Story

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