- 料理
あの魚ってどんな味? 食べられる水族館「あじろ 定置網」を君は体験したか!?
2016.10.08 Sat
藤原祥弘 アウトドアライター、編集者
水族館を訪れて、「あの魚ってどんな味がするんだろう?」と考えたことはないだろうか。そんな思いに応えてくれるのが、品川駅港南口から徒歩約7分の「あじろ 定置網」。このお店では、一般にはなかなか流通しない魚を味わうことができる。
「ウチの店に来て『マグロはないの?』なんて聞いちゃったら、店中から白い目で見られちゃうよ(笑)」とは、店を切り盛りする西潟正人さん。
西潟さんといえば、知る人ぞ知る魚料理人にして文筆家。魚食をテーマにした著作は多数。現在も店に立つ傍、雑誌や新聞に連載を持っている。
西潟正人さん。著書の『日本産 魚料理大全』はおなじみの魚から雑魚、珍魚まで240種類の食べ方を収録した大著。近日中に第2弾が登場するとか!
「定置網に入る魚のうち、魚市場などを通じて流通させられる魚の魚種は約6割。そして2割は商品にできない魚で廃棄される。残る2割が『食べられるのに流通に乗らない魚』。こんな魚をウチでは扱っている」
「17〜18年くらい前からかな、食べられるのに流通に乗らない魚を『未利用魚』と呼ぶようになってきた。しかし、俺はこの呼び名が好きじゃない。現在、未利用魚と呼ばれている魚だって、以前は浜のおばちゃんたちが自転車に乗せて、食べ方を伝えつつ売り歩いていたんだ。利用はちゃんとされていたんだよ。ところがそんなおばちゃんがいなくなって、流通にも乗らないから食卓へ上らなくなってしまった。あじろではこんな魚も、その魚に合った調理法で提供しているんだ」
この日、クエやトビウオといったおなじみの魚と一緒にお店のショーケースに並んでいたのは、ニタリ(サメの一種)、エドアブラザメ、サカタザメ、エソ、などなど。ちょっと釣りをする人なら、ケースを覗いてタカノハダイやイスズミが並んでいることに驚くだろう。
「イスズミやタカノハダイを磯臭いと嫌う人もいるけれど、これらの魚の味を左右するのは処理方法。頭とワタを適切に処理すれば、美味しく食べられる。もちろん独特のにおいは残るけれど、これは臭みではなく香り。魚の個性だよ。これをくさいだなんて言う奴は、魚を食べる資格がないね!」
西潟さんの言葉に押されて箸を伸ばしてみると、特有の香りはあるものの、嫌な味やにおいはまるでなし! プリプリした身から噛むほどに甘みが溶け出してくる。
タカノハダイと一緒に盛られたのは、ニタリ、エドアブラザメ、オキアジ。どれもが個性的な味わいだが、嫌味はまるでなし。刺し盛りが運ばれたほかのテーブルからも珍しい魚に歓声が上がっている。
左から時計回りにニタリ、タカノハダイ、エドアブラザメ、オキアジ。刺し盛りは1人前1500円から。組み合わせる魚によって価格は変わる。
こちらは別のテーブルに提供された刺し盛り。左からブダイ、タカノハダイ、ニタリ、ヒラソウダ、スズキ。
エイの肝(種類は酔っ払って失念!)。魚とは思えない動物のような濃厚さ。レバー愛好家にオススメ!
「こんなお店だから、来るのは魚好きだけ。品川という場所柄、東京に出張に来た全国の魚好きが足を伸ばしてくれる」とは西潟さん。
あじろの営業はランチが11:30〜13:30、夜の営業は17:00〜21:15(L.O)。ランチではその日の朝に獲れたばかりの魚が食材になることもあるという。
注文に応じて、ケースの中から魚を選んで調理してもらえるが、お得なのは「魚づくし料理コース」。先付、刺し盛り、煮魚、焼き魚、食事がセットで3000円から(2名より)。
「お店に入る魚の顔ぶれは毎回ちがうから、来るたびに新しい魚を味わえるよ」と西潟さん。通い詰めれば、水族館で気になっていたあの魚を食べられるかも!?
あじろ 定置網
〒108-0075
東京都港区港南4丁目5−1 都営港南四丁目第3アパート1号棟
電話 03-6433-3571
http://www.facebook.com/ajiroteichiami/