- 料理
【お庭でサバイバル入門!】庭でノビル掘ってチヂミ作ろうぜ。
2020.04.30 Thu
藤原祥弘 アウトドアライター、編集者
悪疫渦巻く自粛の春。これ以上感染者を増やさないためにも、思わぬ事故を出して医療機関に負担をかけないためにも、外出は安全かつ他者との接触がない場所で楽しみたい。これらの条件を満たす身近なスポットといえば……お庭で決まりである。
ガラガラッ
ペタペタ
モッシャ〜
ザクッ
ドパッ
ジャパー
ザクザク
サラサラ
ファサ~
バサバサ(片栗粉)
パキャラン
シッチャカシッチャカ
ジュワ~
ヒュイン
ジャクジャクジャク
ポヤヤ~ン!
進む緊縮に合わせて、細かい説明も自粛した。採集から実食までは見ての通りだ。各自、好きな説明文を脳内で補完してほしい。
……ってわけにはいかないので解説すると、今回庭から掘り上げたのはネギの仲間のノビル。郊外の住宅地なら、自宅の庭になくても家の周辺で簡単に見つかるはずだ。どこにでも生えている雑草だが、アクも少なく食べやすい(しかし、多食すると頭痛や胃痛がすることも)。
ネギの仲間なだけあってネギやニラを使う料理に応用でき、簡単に作れる料理ではチヂミとの相性がいい。球根だけを食べるなら株が大きい方が歩留まりが良いが、チヂミにするなら葉が細いもののほうが食べやすい。庭に生えるものは株が細めなので、全草を使う料理で好都合だ。ひとつかみもあれば晩ごはんの一品を務めあげる。
食べられる山菜や野草のなかには、下ごしらえに手間がかかったり「食べられるけど、食べる理由もないかな」と感じるものも多い。その点ノビルは簡単に採れて下ごしらえも不要。しかも食物として普通においしい。庭や空き地に数株植えておけば、無肥料・無農薬でも並みの雑草以上に茂る。そのへんの草にしては、食物としてかなり優秀だ。
この数年、アウトドア業界はサバイバルブームに沸いていたが、コロナとともに、お遊びじゃないサバイバルが日本にやってきそうだ。
GDPの成長率はマイナス25%を叩き出し、日本の米どころは小雪で今年の米作りが危ぶまれている。海外では食料の生産国は輸出をしぼり始め、国際的な穀物の価格も上昇しはじめている。今年の夏も酷暑がやってきて水不足が重なったとき、それをやり過ごす体力が日本にあるだろうか。
都市生活を送っていると実感できないが、私たちの体は土と水からできたもので養われている。言い換えれば、土と水から食物を得る力があれば、社会がどうなっても食べることだけはできる。不安定な時代、身近な食物の知識は気持ちを少しだけ軽くしてくれる。
場所によっては作物かよ!ってサイズも掘れるぞ。