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世界遺産の知床半島における携帯基地局計画の見直しを求める共同記者会見が開催
2024.08.11 Sun
滝沢守生(タキザー) よろず編集制作請負
8月9日(金)15時より、東京霞ヶ関にあるプレスセンター9階、記者クラブホールにおいて、コンサベーションアライアンスジャパン(CAJ)をはじめ、日本環境会議、日本自然保護協会、北海道自然保護協会による、世界自然遺産・知床における携帯基地局等の建設計画の見直しを求める共同記者会見が行なわれました。
会見には日本環境会議の代表理事を務める寺西俊一氏のほか、環境法の専門家である島村健教授や弁護士の島明宏氏、生態学会からは大久保奈弥教授、日本野鳥の会の田尻浩信氏、日本自然保護協会の大野正人氏、北海道自然保護協会の在田一則会長やCAJ代表理事の三浦務氏が出席
この計画は、世界自然遺産であり国立公園特別保護地区でもある知床半島先端部にサッカー場1面ほどのソーラーパネルが設置され、アンテナまで2kmにわたってケーブルが埋設されるため、幅10mの工事用道路が敷設されるという大規模な計画です。しかも、事前に調査と議論を行なうべき知床世界自然遺産地域科学委員会による検証や地域の利害関係者との合意形成が十分に行なわれないまま計画が進んでいました。そうしてCAJでは建設計画の見直しを求める意見書を公表しました。
知床岬の写真を見ながら建設計画を説明する北海道自然保護協会の在田さん。
この問題は、北海道などでは報道されていますが、東京で報道機関向けの記者会見を行い、多くの市民の方々にこの問題を知っていただくとともに、行政機関、携帯電話事業者各社に向け環境保護団体や学会等が、本計画についてどのような懸念をもっているか、それぞれの立場から意見表明を行ないました。記者会見には共同通信や朝日新聞、毎日新聞などの記者、環境問題に関心のあるジャーナリストなどが参加。さらに、記者会見終了後には、霞ヶ関にある環境省に出向き、本日の記者会見の報告と、そこで出た環境省への質問事項について直接回答を求めました。
記者会見終了後に霞ヶ関にある環境省へと出向く自然保護団体などの関係者
環境省では、各団体から出た代替案の積極的採用を促すとともに、政府としてIUCNへの正式回答をいつまでにどのような手順で行なうか? このままだと、環境省の自然保護行政に対する大いなる国民の不信を招きかねない憂慮を伝え、2025年の世界遺産制定20周年に向けて、もう一度開かれた議論と検討の場を設け、通信事業者に対しても計画の見直しを求めるよう提案が行なわれました。
この問題をひとりでも多くのアウトドアユーザーに知ってもらい、アウトドアコミュニティの声と力で原始的な自然が残る日本の最後のウイルダネスを守っていくことは、未来のアウトドアのために、私たちに課せられた責任でもあるのです。本件については、アキママをはじめ、各アウトドアメディアでも注目し、新しい情報が入り次第、逐次お知らせします。