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100円で買えるファイヤースターターといえば……ライター? いいえ、「板と棒」です!
2014.08.11 Mon
藤原祥弘 アウトドアライター、編集者
ときはお盆休み真っ盛り。きっと日本全国のキャンプ場では、数多の焚き火自慢が火をたいていることでしょう。
「合掌式? いやいやハンター式でしょ」
「着火材やトーチは使わないのが通」
「点火から安定まで、俺より早い人はまずいない」
などなど、それぞれの焚き火に独自の技術と哲学があるでしょう。そして、どの焚き火自慢も「そこそこ」には上手いでしょう。
かくいう私もそのひとり。
雨のなか、風のなか、小さい焚き火、大きい焚き火……。いろんな場所で、たくさんの焚き火を燃やしてきました。「たいていの人よりは上手い」という自負もありました。ところが、先日参加したキャンプで鼻っ柱をへし折られました。
自分の焚き火は所詮、「ライターありき」の焚き火だったと思い知らされたのです。
そのキャンプとは14歳のときにヨットで太平洋を単独で横断した高橋素晴さんと、Akimamaでも連載をもっているヒッピー・テンダーさんによる無人島でのキャンプ。
無人島を舞台に、「野外活動の基本となる技術とその考え方を学ぶ」というキャンプだったのですが、その中心に据えられていたのが焚き火でした。
彼らの焚き火のスタイルは、「板と棒を摩擦して火をおこす」ところから始まります。焚き火を嗜むみなさんならご存知のとおり、火は小さければ小さいほど、消えやすく維持が難しいもの。摩擦による火起こしは、その小さな火にもならない火種から発火させるので、ライターでつけた小さな火を保つことよりも数倍シビアです。
板と棒の摩擦によってつくられた高温の木屑に、あるかなきかの極小の赤い火種がポツンと生まれたら、それを細い植物の繊維で包み、細く息を吹き込んで発火! そこからやっと、通常の火を大きくしていく作業へと移行する———。
この火起こしの作業の難しさに比べたら、ライターによる点火などもう火がついているようなもの。そして、この「火起こし」にこそ、焚き火を構成する三大要素「熱」「酸素」「燃料」のすべてが詰まっています。
まったくの初心者も「火起こし」をマスターすればあっというまに焚き火を上手に燃やせるようになり、焚き火が上手な人が火起こしを身につければ、それまでよりもずっと上手に火がたける。「火起こし」を知る前と知った後では、焚き火の質までもが変化すること請け合いです。
そして、火起こしの技術は焚き火の腕だけでなく、心のありようまで変えてしまいます。「ライターなしでも、自分は火を起こせる」という感覚は、どんな便利なアウトドアギアよりも、心強いものです。
連載「テンダー先生のその辺のもので生きる」第3弾は、そんな火起こしの技術を動画付きで解説。必要なのは、棒と板だけ。経費はなんとたったの100円! もう一歩自分の焚き火のスキルを高めたい人は、動画をチェックしてからホームセンターへ走れ!
(文=藤原祥弘)
※お知らせ!
テンダーさんがこの秋に自身初となる著書を発表! タイトルは『小学6年生からの、わがや電力入門(仮題)』。発電システム全体を12Vで構成することにより、格段に効率を高め、かつ安価に導入できる太陽光発電のノウハウを徹底解説しています。原稿はすでに書き上がり、今はデザインを組んでいる最中なのですが、刷り部数だけが決まっていないそう。「まだ世に出ていない有用な情報をいっぱい盛り込んだから、できるだけ多くの人に届けたい!」(本人談)ということで、テンダーさんのサイトである「ヨホ研2.0」では、お得な特典付き先行予約カンパフォームを展開中。太陽光発電の導入を考えている人はこちらもチェック!