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ブン、ブン、ブン、なんて歌ってる場合じゃない。 これからの季節ハチ刺されにご用心
2014.08.14 Thu
7月下旬のある日、山で行われるとある競技のスタッフとして朝から準備を進めていたときのこと。高い櫓(やぐら)の上にある判定機材の入ったボックスを開けた瞬間、ブゥォォォオオオオ〜〜ッとハチの大群が湧き出てきたのであります。
「ヤベッ!」っと思ってすぐにフタを閉じたものの、時すでに遅し。たちまち背中や腕にバチバチバチッと衝撃が。機材もザックも放り出したまま、転げるように退散——。
とりあえず、刺された場所に水をかけながら毒を絞り洗い、30分ほど様子を見ましたが、特に体調に異常はありません。それでも、4、5箇所刺されていることや、過去にスズメバチに刺されたこともあり、念のため近くの病院へ。点滴と外傷性ショックやアレルギー症状に効果があるというステロイドを注射してもらいました。その後は特に異常もなく、翌日には患部の腫れも引いてまずはひと安心です。
と、今回は幸いにも事なきを得ましたが、ハチ刺されは決して侮ってはいけません。ハチ毒によるアレルギー症状=アナフィラキシー・ショックによる死者は年間20人にもなり、国内での野生生物による死亡のワースト1でもあるのです。
厄介なのは、自分がアレルギーを持っているかどうかは検査でわかるものではなく、刺されて症状が出て初めてわかるという点。一般には(刺されるのが)2回目は要注意とされ、10〜20%の人に症状が出るとも言われています。ただし、1回目で症状が出る人もいれば、3回目4回目で出る人もいるし、何度刺されても平気な人もいます。また体調によっても違うと言われます。
では、どう対処したらいいか。以下に基本的なことをまとめてみます。
1.何はともあれ、刺されないよう注意する。複数のハチが飛び回っている場所は近くに巣がある可能性が高いので、速やかにその場を離れる。近くに来ても手で払うなど刺激をしない。黒いウエアは天敵のクマを連想させるらしく攻撃されやすい(今回の私も、黒いポロシャツの上から刺されました)。
2.刺されたらすぐにハチのいる場所から離れる。その後、手やポイズンリムーバーなどで毒を絞り出し、水があれば洗い流し、冷す。ちなみにハチ毒は水溶性。抗ヒスタミン軟膏かステロイド軟膏があれば塗る。アンモニアは効果無し。
3.ハチ毒によるアナフィラキシー・ショックは15分以内に出ることが多く、早く出るほど重症となる場合が多い。症状は鼓動が早くなる、じんましん、吐き気、腹痛、さらには呼吸困難、血圧低下など。これらの症状を感じたら早急に病院へ。刺されるのが2度目以降の人や何ヶ所も刺された人は、症状が出なくても医師の診察を受けた方がいい。
——といったところなのですが、現実的には登山中など病院に行きたくても行きようがないケースがあります。しかも、私の場合は次に刺されたら3回目。そんな相談を医師にしたところ、携帯用の応急自己注射薬を処方してくれました。
ハチの活動が活発になるのは、これからの季節。正しい知識と対策で、痛い思い、危険な目に遭わぬようしたいものです。
(文・写真=長谷川哲)