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「幸せの国」から、スペシャルオファー!アウトドア天国、ブータンに行くなら今年がチャンス
2016.04.09 Sat
今年2016年は、日本とブータンの国交が樹立して30年。国交樹立30周年を記念して、ブータンから日本に向けて親善スペシャルオファーが発表されている。航空運賃(バンコクなどの隣国からブータンまでの空路)やホテルが最大50%割引きになるというもので、通常のブータン旅行よりもお得になるチャンスだ。
このスペシャルオファーは、日本国籍を有し、2016年6月、7月、8月に旅行する人を対象にしている。今回はブータン特別企画!日本との関わりあいをひもときながら、神秘の国の魅力を探ってみよう。
ブータン国内では、各地で一年を通し寺院などでお祭りが行われている。提供:ブータン政府観光局
■親日の影には、ひとりの日本人の存在が
ブータンといえば、ジグメ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王とジェツン・ペマ王妃が2011年に来日したのが記憶に新しい。「幸せの国」から来た美男美女の国王夫妻訪問は、とても話題になった。東北の被災地にも足を運び、心を寄せる姿に感銘を受けた人も多かったことだろう。
そんな国王夫妻が暮らすブータンに行く絶好の機会が今回やってきた、というわけだ。それにしても、なぜ特別な思いを日本に寄せているのか――じつは「ブータンの農業の父」と呼ばれる、ひとりの日本人が大きく関わっている。1964年から1992年までの28年間にわたって、ブータンで農業指導にあたった西岡京治(にしおか・けいじ)氏だ。ブータンでは知らない人はいないという。
少し歩けばこんな風景はそこらじゅうにある。手つかずの自然が待っている。提供:ブータン政府観光局
西岡氏は、農業の指導者として野菜の栽培や開墾に力を尽くした。決して恵まれていたとはいえなかった環境にも、地道に長きにわたって指導にあたった功績から「ダジョー」というブータンではもっとも栄誉のある称号を受けるまでに。残念ながら西岡氏は、1992年にブータンで逝去された。葬儀は国葬だったという。最期までブータンの人々に寄り添っていた西岡氏の温厚な人柄が、いまもブータン人の心に残り、親日につながっているといえるだろう。
■ブータンを旅行するための特別なルールの存在
ブータンは、ヒマラヤ山脈に抱かれ、手つかずの自然が豊かな国。トレッキングにマウンテンバイク、カヤックにラフティングと、壮大な自然を満喫できるアウトドア天国ともいえるだろう。
じつは、ブータンを旅するには、特別なルールがある。外国人が旅行で滞在するには公定料金なるものを支払わなければならないのだ。金額は、シーズンや人数によって変動するものの、ひとり当たり1日に200〜290ドル(公定料金に含まれるもの:宿泊費や食事代、ガイド費用、国内移動費用、トレッキングツアーのキャンプ設備費・運搬代)。現地では、外出の際にライセンスを持ったガイドが同行し、移動には運転手付きの車が必要だ。旅行の手配は、日本の旅行会社か、認可されている現地の旅行代理店に申し込む。
大小さまざまな川が多く流れている。スペシャルオファーの6-8月は、少しフィッシング時期が外れてしまうかも……。 提供:ブータン政府観光局
例えばガイドと一緒にお寺を巡っても、1日中なにもせずボーッと山を眺めていても1日最低200ドルは払わなければならないのだ。
今回のスペシャルオファーでも、三つ星以上のホテルの滞在やライセンスを持ったガイドの同行、運転手付きの車を雇うことなどは必須となる。旅行者にとってはなかなか条件が多い印象はあるものの、一定水準のサービスを保証するものともとれる。
しかし今回は、税金やビザ代をのぞき、公定料金は免除。通常、個人旅行や少人数旅行者にかかるチャージ(1人1泊30から40ドル)も必要ない。なによりバンコクなどからブータンまでの航空運賃半額は大きな割引きといえるだろう。
トレックキングのヒトコマ。遠くに雪山をのぞむ絶好のキャンプサイト。提供:ブータン政府観光局
■個人手配は英語必須、手っ取り早く日本発ツアーもアリ
ブータン・パロ空港までの飛行機代(カトマンズやバンコクから運航)も50%OFF。例えば、国営のロイヤルブータン航空(ドゥルックエア)のサイトを見ると、バンコク⇋パロは通常往復90,800円だが、特別料金の45,000円になっている。
川といえば、ダウンリバー。カヤックやラフティングも楽しめる。ゾン(お寺)を眺めながらというのもおつなもの。提供:ブータン政府観光局
個人でブータン旅行を手配する場合は、まず日本からバンコクなど(ブータンへの飛行機が就航している国まで)は、自力で手配する。そして、ブータンへ飛ぶ飛行機以降(←この航空券が50%OFF!)は認可された現地の旅行会社に連絡を取り手配することになる。やりとりは英語になるが、現地の細かい情報が得られたり、さまざまなアレンジも期待できるだろう。
もちろん日本国内の旅行代理店を通して手配することも可能だ。日本発のツアーに申し込むというのも手っとり早い。ブータン政府観光局のホームページには、旅行会社の一覧があるので参考に。
去る2月6日、ブータン国王に待望の王子が誕生した。国中がお祝いムードにつつまれ、祝福として108,000本もの植樹がされたという。さすが、仏教国ブータン。108という煩悩の数の木を植えておのおのの煩悩を滅する意味合いが込められているのだろう。王子が誕生した記念する2016年、そして国交樹立30周年。このスペシャルオファーを活用して、秘境でアウトドアを楽しみたい。
現地のこどもたちが、とにかくかわいい。カメラを持っていると、撮って!と集まってくる。提供:ブータン政府観光局
■個人的なブータンの思い出を少し……
最後に、筆者が16年前にブータンに行った思い出を少し書いておきたい。当時青年海外協力隊の一員として働く友人に会うために、ブータンへ行った。前情報として得ていたことといえば、素朴な風景が30年くらい前の日本を思わせる、標高が高い、日本人と顔が似ている、お米が主食、料理にはトウガラシがふんだんに使われている、お寺がたくさんある、国民は全員民族衣装を着ている、学校は英語で授業している、みんな国王を慕っている……、などだった。
ブータンは織物が広く行われ、とても技術が高いという。お土産にも最適だ。提供:ブータン政府観光局
目に見える山はすべて富士山以上の高さを誇り、空はとても濃い青色をしていた。学校の授業は英語で行われているので、若い子はわたしたち外国人とも会話ができ、フレンドリーにいろいろ話しをしてくれた。街のお店に行くと、どこへ行っても、端正な顔立ちをした「にしきのあきら似」の肖像画が掲げてある。第4代ブータン国王のジグミ・シンゲ・ワンチュク国王だ。そのことを店の人に尋ねると、少し誇らしげに答えてくれていたことを思い出す。数日の滞在だったが、とても思い出深いものとなった。次回は絶対トレッキングがしたい!と思いつつ、早16年。ブータン行きのチャンスが来たのかもしれない。
フェスでおなじみ、青谷明日香さんが歌う「エマ」。エマとは、とうがらしのこと。現地の子どもたちも登場するPV。
参考サイト:
ブータン政府観光局 http://www.travel-to-bhutan.jp/archives/2248
ロイヤルブータン航空(Drukair) http://www.drukair.jp/
ブータンエアラインズ http://www.sunriseair-japan.com/
(文=須藤ナオミ)