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日本の清流に、手長エビ獲りの季節がきた!

2016.06.16 Thu

大村嘉正 アウトドアライター、フォトグラファー

 清流を訪れたなら、川の幸を自分の手で獲って食べたいもの。しかし「漁業権」というものがあり、入漁料を払わないと密漁で御用! なんてことになりかねない。たとえばアユやアマゴ、ウナギにツガニなど、「美味しそうな魚介」についてはおおむね漁業権が設定されている。しかし手長エビについては、個人で食べる分を獲るくらいなら大抵の川でオッケーなのだ。

 手長エビというのはその名のとおり、ハサミの腕が長く、煮たり揚げたりすれば実に美味しいエビ。その獲り方としては、釣りや、夜間にライトで集めて網ですくうという方法がメジャーだ。でも、思わず飛び込みたくなるような清流であれば、川に潜って獲る方法をぜひ試してほしい。

 用意するものは「エビ玉」(直径約12cmで柄の長さ約20cmの玉網、手長エビが生息する清流であればその近所の釣具店や雑貨屋にある)と水中眼鏡、水中の石でも滑りにくい靴。そして現地に到着したら、川底に大きな石や岩が並んでいて、深くても腰ぐらいで、穏やかな川面を探そう。

 あとはジャボンと潜り、川底の石の隙間を覗きこみ、手長エビを発見したらそっと石をどけつつ、尻尾のほうに網を構えて追い込むだけ。

 獲物としては小さいけれど、水中で目が合えば火花が散るような緊張感であります。狩りの本能が目覚め、清流の涼も満喫できるこの遊び、気分はもう川ガキなのだ。

 ところで肝心なのが、その川に手長エビがいるかどうか。手長エビはその生涯において海と川を行き来する生き物で、つまりは海と川を分断するコンクリート建造物(カヌーイストやパタゴニア社が嫌悪する堰やダム)があるとその上流にはほぼいなくなる。とくに河口近くに堰があると最悪。「海まで自由に流れる」という、本来の川の姿のままの流域であることを、手長エビの存在は証明しているのであります。

 さて、あなたの地域の清流は「自由」だろうか? 堰やダムで分断されていない(国土地理院2万5千分ノ1地形図でチェック可)なら、手長エビの探索に出かけてみませんか? 獲って楽し、食べて旨しと、自然派ピープルにはたまらない夏の思い出になりますよ!
  

※ちなみに、この記事の手長エビの撮影場所は仁淀川(高知県いの町)や四万十川(高知県四万十市)などです。

大村嘉正 アウトドアライター、フォトグラファー

四国の瀬戸内海暮らし。仕事は自然・旅系ライター&フォトグラファーで、生きかたはバックパッカーでリバーランナー。著書はラフティングガイドたちの1年を追った『彼らの激流』(築地書館)。

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