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【泊まってみた】いま「空港野宿」がアツい! っていうか、快適すぎてコワイ

2016.06.16 Thu

かとう ちあき 『野宿野郎』編集長

まさに、野に眠れる獅子、野外(アウトドア)界?の素浪人、かとうちあき先生による「連載のようなもの」の第2回目。「人生をより低迷させる旅コミ誌」というハードコアなコンセプトで、多くの方の人生を弄んできた野宿専門誌『野宿野郎』の編集長・かとうちあきさんによる、空港野宿(エアポートビバーグ、略してエアビバ)についてのレポートです。

 いま、「空港野宿」がアツい! ……って、ご存知ですか。「室内だし、野宿じゃないじゃん!」という、ごもっともなご指摘を毎度いただきながらも、「いま、空港野宿がアツい!」と言いつづけて、はや数年。そろそろ定着してきた頃なんじゃないか、いま。そういうことにしといて! 頼むよ~! という思いでいっぱいです。

 そんなわけでつづけさせていただきますと……。現在、夜間も開かれている空港は、成田空港、関西空港、羽田空港の3つ。がぜん「空港野宿」に注目が集まったのは、2010年10月、羽田空港が国際便就航のため「24時間空港」に変身、新たな「野宿スポット」となったことからでした。さらに2015年4月には、成田空港に第3ターミナルが新設。いよいよ空前の「空港野宿ブーム」がやってきたわけです(「野宿野郎調べ」というか「主張」……)。

 だって、この第3ターミナル、早朝発の便の多いLCC専用のターミナルであるため、完全に「空港泊」を想定したつくりになっているのです。夜間の開放を謳っているのは、出発ロビー(の指定された部分)ですが、このスペース、Wi−Fiは使い放題だわ、無料で充電できる電源はあるわ、コンビニもあって24時間買い物し放題だわ、イートスペースには早朝4時から営業の店舗もあるので優雅に朝食を食べて出発することも可能だわ、おそろしいほどの至れり尽くせりっぷり。

 そしてそして、それだけじゃありません。なによりスバラシイのが、「どうぞ寝てください!」とばかりに置いてある、ふかふかのソファーベンチの存在なのであります。成田空港の公式HPにも「横になれるソファーベンチもございます」と書いてあるし、公式での「空港泊」の認められっぷりが、ほかの空港の比じゃないのでした。


オープンしたばかりの頃。人だらけ!

 しかし、このふかふかのソファーベンチ、やはり大人気で、毎夜毎夜、激しい争奪戦が繰り広げられている模様。出発ロビー全体も人気のため、2015年7月には、第3ターミナルと第2ターミナルの間に「北ウエイティングエリア」という新たな「空港野宿スポット」が増設されたのでした。というわけで。たいへん遅きに失している感は否めないのでありますが、このエリアで念願かなってわたしもやっと眠ることができたので、どんなだったかお伝えしたい次第。

北ウエイティングエリアの看板発見! 期待が高まる

 混雑緩和のためにつくられ、座席数900席以上と謳われている広いスペースですが、なんだかんだ、まあまあ混雑しています。千歳空港からの最終便が遅れに遅れて深夜0時に着いたのもあって(だから「もう帰れない、泊まるしかない」という大義名分もばっちりです!)、一番の人気スポットであろう畳敷きの「ファミリースペース」はもちろんいっぱい、少ししかないソファーベンチもいっぱいで、金属製のベンチだけが悲しくちらほらと余っていました。


いつも人気のファミリースペース

 ぐるっと観察してみると、隠れた人気スポットだったのが「キッズパーク」です。カーペット状の地面の寝心地がよいのか。囲いが安心を呼ぶのか。みんなみんな、あの頃に帰りたいのか。大人がたくさん寝転がっているではないですか。


大人しかいない、キッズパーク

 結局わたしはマットを持っていたし床に寝たのですが、あのふかふかのソファーや、子ども返りできるキッズスペースでいつか寝てみたいという欲求を抑えられず……。このままでは、空港野宿をしたいがために、飛行機を予約、どこかへ向かっちゃいそうな気がいたします。


いい感じの壁際は、寝袋持参の人たちがしっかり陣取っていました。おお友よ!

 野宿に縁のない方も、空港内なら安心安全。空調ばっちりの快適空間なので、早朝出発便も恐れることはなし。LCCで安くいろんなところへ行けちゃう。大きな声では言えませんが、誰かの見送りって名目で空港まで行って、楽しく酒盛り&空港野宿、翌朝空港内をぷらぷら見物して帰るのも、意外と「小旅行気分」になれて楽しいのでおすすめなんであります。出発ロビーのイートスペースでは、おいしい水が無料で呑み放題だよー。

かとう ちあき 『野宿野郎』編集長

面倒くさいを座右の銘に、人生をより低迷させる野宿専門誌『野宿野郎』を刊行する編集長のようなもの。著書に「野宿入門―ちょっと自由になる生き方 」(草思社文庫)、「あたらしい野宿(上)」(亜紀書房)など多数。最近は、横浜で、お店のようなものを絶賛営業中。

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