• アクティビティ

まだ間に合う!もっと夏を味わいたい。潜・登・食、神津島旅雑記

2016.08.24 Wed


東京・竹芝を出航する「さるびあ丸」。約10時間の船旅。夜景を楽しみながら出発だ。天気がよければ途中で満点の星空が見えるはず。 ©神津島村役場

プロローグ 「ああ、行きたいなぁ」から「よし、行くぞ」まで
 それは、出発の3日前に思い立った旅だった。
このままでは夏を感じないまま、夏が終わってしまう…。青い海をスノーケリングしたいし(あわよくば突きたい)、山にだって登りたい。おいしい魚も食べたい。

しかし東京住まいで、次の週にすでに予定も入っている。長期は難しく、しかも時期は夏休みのハイシーズン。いまから宿やら飛行機やら、おさえられるわけがない。混雑を想像するだけで、行く気がそがれてしまう。

そんなとき、ふと、先輩の声を思い出した。「夏は島だよ、島。そんなに混まないから」島か…。たしかに、いいかもしれない!そうだ、どうせ行くならまだ行ったことがないところがいい。

都内からアクセスのよいアイランド、間違いなく伊豆七島だろう。
ちくちくとインターネットなどで調べながら、だんだんと目的地が定まってきた。

「神津島だな!」

青い海はもちろん、天上山だってある。新鮮なキンメダイだって食べられるはずだ。
ジェット船に乗れれば、竹芝から約3時間で行ける。

というわけで、行き先は神津島に決定。船にも空席が出はじめ、即予約!さらに幸運なことに、この思いつき旅に付き合ってくれる友人もみつかった。とにかく島へ渡る手段さえどうにかなれば、あとはなんとかなるだろう。(※もし席がおさえられなかったとしても、「席なし」という手がある)
こうして神津島ツアーは、電光石火のごとく決まったのだった。所要時間約60分。


船はいい。旅してる!そんなことをひしひしと感じるもの。すでに甲板に人の姿はないが、昨晩は「席なし」の人びとでごった返していた。

DAY1 いよいよ神津島に上陸。青い空と海よ、こんにちは。 
 神津島へのアクセスは、行きは大型客船、帰りはジェット船を利用。どちらも直前になってキャンセルが出たようで、うまくインターネットから予約することができた。大型客船は前日の23時ちょうどに竹芝を出航し、翌朝9時少し前に神津島に着く。一方、ジェットフォイルの所要時間は3時間ほど。うまく組合わせられると、現地でめいっぱい遊べる。

 大型客船は、大島、利島、新島、式根島に寄港しながら最終目的地の神津島へと向かう。東京から神津島の直線距離は約180キロだ。
上陸!この日は穏やかで予定通り、ほぼ定刻に神津港に入港。天候によっては、多幸湾の三浦港に入ることもあるそうだ。

ほぼ定刻どおりに、入港。やっと神津島に上陸!そのまま港にあるまっちゃーれセンターをめざす。まっちゃーれセンターは、観光協会の窓口や、船の受付、トイレ、休憩所などがあって、フリーWi-Fiもあり。

観光協会でキャンプ場利用の申し込みと、島内情報をGETする。神津島には3つのキャンプ場があり、そのうち2つは、無料(現地にて要申し込み)。もうひとつは、レンタルなどいわゆる設備が整ったキャンプ場だ。宿をおさえていなくてもこの旅が決行できたのは、キャンプ場のおかげ。無料キャンプ場は、キャンプ場というよりは海岸で、砂浜のフリーサイトといったところ。でも、水洗トイレや水シャワー、炊事場もすぐ近くにあり、素晴らしい環境なのだ。

しかも島の方が、毎日掃除に訪れてとてもきれいにしてくれている!
ここが長浜海岸。のんびりとしていて静かな砂浜。10から15張程度のテントが張られていたが、広々と張れる。夜も静かで、ときおりパトカーが巡回してくれていた。

港に近い沢尻湾キャンプ場は、人気フェス会場のごとくテントがひしめき合っていた。集落や温泉からも近く便利なのだが、もう少しゆったりした場所にしようと長浜キャンプ場に泊まることに。

起きたらすぐ海が見えるように、出入り口は海に向ける。明け方はとても涼しくなるので、シーツなどが1枚あるといい。

我が家を建て、さっそく恋い焦がれた青い海へ!これ、これ、これ!青い海がやさしく迎え入れてくれたのだった。

波打ち際からちょっといったら、お魚天国。ソラスズメがわんさか、お出迎え。思ったより海水温は低かった。

波の音を聴きながらのキャンプ、思わぬ敵が襲来!
 海から上がり、昼飯は港にあるよっちゃーれセンター(まっちゃーれのすぐ向かいにある)へ。夜は自炊することにした。
刺身定食をいただく。神津と言えばアシタバ、天ぷらとおひたしに。もちろん、生ビールで乾杯!
島内に一軒あるスーパーで、キンメダイのアラ(てんこ盛りで300円)を仕入れる。(切り身は、ひと切れ500円以上したので…)アラとあなどるなかれ、身はけっこうついていて食べるところがたくさん!夜は金目の鍋、翌朝も金目を焼こうという金目尽くしのディナー&モーニング。この旅らしいメニューに決まった。

買い物を済ませて、神津島温泉保養センターでひとっ風呂。ゆっくり沈む夕日を眺めながら、長浜海岸へと歩く。徒歩で約10〜15分、ちょうどいい散歩だ。
まっすぐに伸びるオレンジロード、夕日がとにかくキレイ。温泉から長浜海岸までの帰り道は海沿いなので、ずっと夕日が見えていた。
長浜海岸はテント数も少なく、わたしたちを含めて10張りあるかどうかという感じ。ソロキャンプの人もチラホラいて、思い思いに過ごしている。

19時頃にはようやく気温も下がり、心地よい風も吹いてきた。さあ、夕飯の支度!まあ、支度といっても、アラとネギを味噌で煮るだけのぶっこみ料理。
アラとネギのみそ汁。おすすめは、島で売っている「地のり」もしくは「島のり」を入れていただく。磯の香りがいっそう引き立ってうまい!

はじめは、ランタンの灯りで調理していたのだが、虫(ハネアリらしき虫)が襲来。ランタンに集まり、ひどい有様なので遠くに離すものの、数匹が鍋に飛び込んでいくので、アクと一緒にかき出す。虫と格闘しつつ、金目鍋が完成!ほぼ闇鍋状態で、いただきます。うまい!

虫よけは必須。効くか分からないが、蚊取り線香なんかもあるとよいかもしれない。ちなみにさらに時間が経つと、虫たちも落ち着いたようで、すっかりどこかへいってしまった。

満腹。額の汗を潮風がなでていく。
ザザーッ、ザザザーンッ、ザザーンッ。波の音。ああ、なんていいところなんだ!

DAY2 海の次は山へ、まるで2千メートル級の風景。
金目のカマ焼きモーニング。煮ても、焼いても、うまい。1日は金目からはじまる。
 翌日は金目モーニングをいただき、早朝からスノーケリングスポットの赤崎海岸へ。長浜海岸からは徒歩20〜25分。赤崎海岸は、岩肌に木道が作られ天然のプールのようになっていて、ライフセーバーも常駐している。透明度は高く、魚も多い。ちょっとした売店もあるので、軽食もいただけるので便利。

赤崎海岸。家族連れも多く訪れている。飛び込み台もあるので、まるで天然プールのようなおもむき。 ©神津島村役場

 9時過ぎには、海の中へ。午前中はここでスノーケリングを楽しみ、午後は天上山をめざす予定だ。天上山は標高572メートルと、さほど高くないが島独特の風景が魅力。花の百名山とも称され、一年を通じてさまざまな花が見られる。この日はキキョウが多く咲いていた。固有種のコウヅシマヤマツヅジは、4〜6月が見頃。

天上山は標高こそ低いが、上部はのっぺりと広い山容をしている。しっかり回ろうと思うと、5から6時間は必要だ。取り付きの時点で午後をゆうにまわっていたので、コースは黒島登山口からの10合目、524メートルのピークまでの往復とした。

うっすらジグザグみえる筋が、道。1合目から10合目まで道標があるので、いい目標になる。けっこう激登り。

漁港をのぞむ黒島登山口の登りルートは、取り付きから低灌木が続き高山のような眺めだ。勾配もそこそこあり、一気に高度があがっていく。つづら折りの道を休憩を挟みながら、登る。だんだん雲が多くなったことで、涼しくなったのは幸いだった。

黒崎登山口からの10合目、524メートルのピーク付近。神津港が小さく見えている。500メートルちょっととは思えない眺めだ。

天上山といったら裏砂漠などがよく知られているが、この日は時間が足らず踵を返した。次はじっくり1日かけて、歩いてみたい。2日目の夕食は、神津島温泉センターの食堂を利用した。刺身など地のものもあり、メニューが充実していて生ビールもある!なによりも、テン場まで徒歩10分ほどという好条件なのだ。

エピローグ さようなら、そして夏をありがとう神津島
ジェット船からの神津島。キャンプした長浜海岸が小さく見えている。
 弾丸ツアーもとうとう3日目の最終日。仲間のうち、2人は東京行きのチケットが取れず、午前中の熱海行きのジェット船で帰ることになっていた。でも、住まいが神奈川方面ならば、それもいい選択だ。熱海までの電車代も1,000円ほどで、熱海-神津島間のジェット船代も7,000円弱。東京発着と金額もさほど変わらないし、なんといっても熱海でも温泉にも入れるというオプションもあり。

 さてさて、東京行きのジェット船は午後発。もう一度海に入ってから帰ろうと、再び海へ。長浜海岸は遊泳者も少なく、静かだ。ちょっと沖へ泳げば大きめの魚も悠々と泳いでいる。

長浜海岸でハマフエフキと最後のランデブー。写真だと小さく見えるが、50センチくらいある。

来て本当によかったなあ、と、魚を眺めながらしみじみと実感。たまにはエイヤーッ!と、ものごとを決めてしまうのも重要だ。急なこの旅の計画に乗ってくれた仲間にも感謝だ。最後に島の土産にパッションフルーツを買い込んで、乗船。島を後にした。あっという間の3日間。さようなら神津島、ありがとう神津島!
神津島のパッションフルーツ。甘酸っぱい香りがしてきたら、食べ頃。表面にシワができると、酸味が抜けてきた証拠らしい。甘酸っぱくておいしい。 ©神津島村役場

神津島旅のヒント
ちょっと役立つ情報をご紹介。キャンプ&自炊ならば、とてもリーズナブルに収まる。今回持っていってよかったものは、虫よけとソフトクーラー。自炊するときは、クーラーがあると便利。ビールも冷やせる!そして、島でバスを利用するなら、小銭を持っておくこと。港の観光協会で両替してくれるので必ず寄ろう。
ザックは50L。これにキャンプ道具一式と着替え、フィン、マスクなどすべて収納。ソフトクーラーはシアトルスポーツの12L。

◆今回の旅のお財布(ひとり分) 合計 22,920円
内訳
行き交通費(東京→神津島往路、大型客船) 6,300円(オンライン申込)
帰り交通費(神津島→東京、ジェット船) 9,020円(オンライン申込)
食費 4,500円(お酒を飲まない人はもっとおさえられるかも…)
お土産代 1,500円
島内交通費(バス代) 1,600円

◆神津島へのアクセス
船 東海汽船
東京(浜松町/竹芝)や熱海などから伊豆七島へ。オンライン予約は割引き有り。

飛行機 新中央航空株式会社
調布から神津島や大島、新島、三宅島へ飛んでいる。神津島までは45分のフライト。

◆島の交通について

当初は自転車をレンタルして行動しようと考えていたが、あいにくすべて出払っていた。そこで島内バスを利用することに。1回乗車200円。本数は多くないが、うまく利用すればあまり不便を感じない。徒歩とバスで島内移動は問題なかった。また、坂道が多いので自転車も場所によっては大変なようだった。タクシーやレンタルバイクもあるので、調べてみよう。
役場のHPでチェック! http://vill.kouzushima.tokyo.jp/travel/transport.html

◆島でのキャンプ
無料キャンプ場が便利。島に着いたら、港にある観光協会に申し込めばOK。
沢尻湾キャンプ場 港や集落(売店などある)まで近い。
http://www.kouzushima.org/stay/detail.php?no=0070

長浜キャンプ場 港や集落から少し離れているが、静かで空いている。
http://www.kouzushima.org/stay/detail.php?no=0071

設備やレンタルが充実した有料のキャンプ場もあり。
多幸湾ファミリーキャンプ場
http://business4.plala.or.jp/takouwan/

(文=須藤ナオミ)

Latest Posts

Pickup Writer

ホーボージュン 全天候型アウトドアライター

菊地 崇 a.k.a.フェスおじさん ライター、編集者、DJ

森山憲一 登山ライター

高橋庄太郎 山岳/アウトドアライター

森山伸也 アウトドアライター

村石太郎 アウトドアライター/フォトグラファー

森 勝 低山小道具研究家

A-suke BASE CAMP 店長

中島英摩 アウトドアライター

麻生弘毅 ライター

小雀陣二 アウトドアコーディネーター

滝沢守生(タキザー) よろず編集制作請負

宮川 哲 編集者

林 拓郎 アウトドアライター、フォトグラファー、編集者

藤原祥弘 アウトドアライター、編集者

ふくたきともこ アウトドアライター、編集者

北村 哲 アウトドアライター、プランナー

渡辺信吾 アウトドア系野良ライター

河津慶祐 アウトドアライター、編集者

Keyword

Ranking

Recommended Posts

# キーワードタグ一覧

Akimama公式ソーシャルアカウント