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<晩夏大作戦>ご近所の大物 ナマズに挑む!

2016.09.06 Tue

藤原祥弘 アウトドアライター、編集者

「セミやバッタやザリガニじゃ、もう満足できねぇ。さりとてマニアックな小昆虫を究めるってガラでもない。ただただ、健康的な狩猟本能をぶつけたいのに、この街には肝心のその相手がいねぇ!」

 そんな悩みを抱える、都市部の狩猟採集系小学生たちにお勧めしたい獲物がナマズ。

「ナマズ? そんなに身近にいないよ」なんて声が聞こえてきそうですが、都市部の小河川の水質改善とともにナマズも復活。最近はちょっとした水量のある川ならどこでも見られるようなりました。

 つぶらな瞳と髭面がユーモラスですが、小魚からカエル、ネズミまでひと飲みにする貪欲な肉食系。そして、ひとたび鉤にかかれば小学生の手にはあまるそのパワー! 

 造形、習性、パワー。どれをとってもナマズは魅力的な生物です。もちろん、食べても美味しい魚なのですが、ナマズは淡水魚のなかでも川の汚れが食味に出やすい魚なので、都市部で釣れたものは残念ながら食用には向きません。

「食べもしない魚をひっかけて楽しむ」という点で、ゲームフィッシングには釣り人が一生考え続けなくてはいけない課題がありますが、そこは狩猟採集のとば口に立ったばかりの小学生。多めに見てもらいましょう。

 それでは以下、ナマズ釣りの紹介です。

小学生がナマズデビューするなら、理想的な遊び場はこんな川。川幅は4〜5m、水深は深くても50cm程度、水面と岸が近いと安心です。

道具は180cm程度のルアー竿に小型のリール。どちらも安いものでかまいません。ラインはPEラインの2〜3号を男らしくルアーに直結。ナマズは目が悪いのでラインを気にせず、また、岸の草などにひっかけたときに太い糸だと力まかせにはずすことができます。ルアーは「ジッターバグ」というナマズ釣りの大定番を。

ルアーはプライヤーなどでカエシをつぶしておきます。こうすると釣れたあとに鉤が外しやすく、またナマズの傷口も小さくできます。

ジッターバグは水面に浮くタイプのルアー。正面についた金属のカップが水流を受けると、左右に大きく頭をふるような動きをして音と波紋を起こします。この音と波紋でナマズはルアーの位置を確認して食らいつきます。ルアーの速度が速すぎるとナマズが諦めてしまうので、カエルがスイスイと泳ぐ程度の速度でルアーを引きましょう。

ナマズは日中でも釣れますが、釣れ盛るのは日没以降。昼は比較的水深のある場所に潜み、暗くなると瀬尻や瀬のなかに出てきて、近くを通ったもの、あるいはひげに触れたものに食らいつきます。ナマズは基本的に水底にいるので、浅い川のほうがナマズの近くにルアーを通すことができます。写真では、画面左の瀬から淀みへと流れ出している部分が一級ポイント。

瀬のなかで餌が通りかかるのを待つナマズ。臨戦態勢のナマズはひげをビッと前に伸ばし、側線(体についた縫い目のような点線)で周囲の音や水の動きを感じ取っています。瀬のなかにいるときは直上を通ったものにしか反応しないので、数十cm刻みでルアーを流し、面で川を探っていきましょう。

「バフッ!」ルアーへのアタックは突然。大きな音とともに水面直下から食い上げるので、すばやくアワセを入れて口に鉤をかけます。

鉤がかりしたナマズは水上に跳ね上がりつつ首を振ってルアーを外そうとするので、テンションを保ちつつこれに耐え、そろりそろりと岸へと引き上げます。

手でつかむときは川の水で手を濡らしてから(人の体温は魚には熱すぎる。また乾いた手だと体表の粘液もとれやすい)。胸ビレに鋭い棘があるのでこれに注意しつつ、胸ビレの下側を握ってささっとリリース。ナマズの口は堅いので、鉤はプライヤーなどで外しましょう。鉤を水中で外せるなら、そのほうがナマズのダメージが小さくなります。

 以上がルアーでのナマズ釣りの基本です。釣り場や釣りの時間帯によっては、釣り具以外にも必要なものもありますが、そちらは各自の判断で。

 ナマズが盛んに釣れるのは5〜10月。今年もあと2ヶ月程度楽しめます。

 ときには90cmを超える大物にも出会えるナマズ釣り。そんな大物とはいかなくても、一度ナマズを釣り上げたら近所の川がそれまでとはまるでちがって見えるようになるはずです。

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