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川のプロたちの必須スキル、電気も電波も必要なしの伝達手段は、シンプルだけど役に立つ!

2020.07.13 Mon

大村嘉正 アウトドアライター、フォトグラファー

 町の暮らしから自然のなかに飛び込むと、予想外はよくあるもの。たとえば川の音。急流が発する音の大きさは、とくにトラブルのときに思い知らされます。激流のそばの山道でケガをして歩けなくなり、約50m先をいく人に大声で助けを求めても気づかれない……なんてこともありうるのです。

 では、そんな「荒瀬の轟音」が仕事場のリバーガイド(ラフトやカヤックの川下り案内人)は、いかにして激流で意志を伝え合うのでしょうか。もちろん無線や携帯電話を持っていきますが、よく使うのはリバーサイン。おもにホイッスルと身振り手振りで通信するのです。
ふざけてるわけじゃないです。これがリバーサイン。
 これ、リバーガイドに限らず、川で遊ぶ人には有益なスキル。
 たとえば、

●早瀬で子どもが流された、大声で仲間を呼ぶが瀬の音に邪魔される、携帯電話をかけても気づいてもらえない。
●洪水被害の現場で電気も電波も不通、大増水した川の音に邪魔されて声も届かない。

 なんてとき、伝えられる情報は最小限だけど、リバーサインは役に立つのです。

 というわけで、一般の人でも使う機会がありそうなリバーサインを紹介しましょう。

リバーサインはホイッスルと動作の組み合わせで

 まず、リバーサインの出し方です。

1.ホイッスルを吹いて仲間に視線をもらう。
2.次に、身振り手振りでリバーサインを送る。

【 例:川に流されている人を助けるため、ロープを要求 】
注目!(ホイッスル短音1回)+ロープ+ここに。
 ホイッスルは、吹く回数と吹く長さで意味が変わります。

●短音1回「ピッ」/注目!
●短音2回「ピッ、ピッ」/川の上流を見ろ、上流へ行け
●短音3回「ピッ、ピッ、ピッ」/川の下流を見ろ、下流へ行け
●長音3回「ピー、ピー、ピー」/緊急事態発生!

ホイッスルは、玉が入っていない(振っても音がしない)もので、大きな音がでるものを選ぶ。おすすめは「FOX40ミニ」。世界中のプロスポーツの審判や沿岸警備隊も使用(アマゾンなどで通販)。
リバーサインの種類
①OK・了解だ片手と頭で丸をつくる。
②NO・よくわかりません。いかにも「わかりません」と両手を広げる。
③準備ができた、オールクリア、来てよし、行きます。片腕を、または棒状のもの(カヤックのときはパドル)をまっすぐ上にあげて静止する。
④SOS片手(両手でも可)を上げて大きく振る。パドル(または棒状のもの)を振ってもいい。
⑤流されている人がいる、落水者がいる。クロールのゼスチャーをする。
⑥数(片手で力こぶを作る動作で数を伝える)。一回力こぶを作るごとに数をカウントする。
⑦ファーストエイド(応急処置)が必要だ、または必要な事態が起こった。両手でクロスをつくる、または片手の拳を胸にあてる。
⑧ストップ、待て。両腕を水平に開く、または棒状のもの(カヤックのときはパドル)を水平に掲げて静止する。
⑨タイム「止まれ」というより、動作を一時中断するときのサイン
⑩ここに集合。両手で自分の場所を大きな動作で指さす。
⑪この方向へ行け。この画像の場合は、水平に伸ばした右手のほうへ行け。
⑫急げ!両手を空回りするように回す、またはパドルを垂直に上下させる。
 普及とは程遠いリバーサインですが、仲間同士では共有すればかなり便利。また、ホイッスルを携帯するだけでもいいでしょう。「ピッ」と鳴らして視線をもらい、あとは身振り手振りでなんとか伝わるはずです。

◆動画は、四国吉野川のリバーガイド、「THE BLUE EARTH」の 藤井勇介さんに協力いただきました。

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