• 山と雪

『八重の桜』で注目度アップ!?
こんな山に登ってみたい!!
Akimama Mountain File vol.01

2013.02.04 Mon

磐梯山(ばんだいさん/1819m)

 昨今、NHK大河ドラマ『八重の桜』でも注目される会津ですが、そのシンボルといえば、なんといっても磐梯山です。「ならぬものはならぬものです」と、会津の什の掟を心に刻む会津っ子たちが、その昔から見上げてきた磐梯山だけに、地元の人々にとってはかけがえのない山なのでしょう。「あいづ〜ばんさいさんは〜 たか〜ら〜の やま〜よ〜」と民謡・会津磐梯山にも唄われているように、まさしく宝の山なのです。会津っ子にとっての宝の山は、実は山好きにとっても宝の山だったりもするものでして……。この山、麓から見るだけでなく、登るにも非常に楽しい山で、磐梯山ファンとしては、ぜひとも紹介したいと思うのです。

 磐梯山の魅力は、なんといっても変化に富んだその山容にあります。猪苗代側から見れば、たおやかな稜線をやさし気にしたがえた山ですが、裏磐梯側から見れば、荒々しい巨大な爆裂火口を悪魔のごとく持つ山です。表と裏とにあるこのギャップが、心の襞をくすぐってくれるのです。つまり、表側から裏側へと山をたどっていけば、興奮冷めやらぬ山歩きが楽しめるというわけですね。

 磐梯山は深田久弥の『日本百名山』にも選ばれているので、登山シーズンともなれば、多くの人々で賑わいを見せます(最近は放射能汚染の影響もあり、人出は少ないようですが……。とはいえ、『放射能と登山道』[野口邦和・監修、日本勤労者山岳連盟・編/桐書房刊]によれば、すでに登山道の放射能レベルは人体に影響を与えるほどではないとの記述もありました。関連記事はこちらhttp://www.a-kimama.com/culture/2013/01/1123/)。

 そのいちばんの人気ルートが、磐梯ゴールドラインの中ほどにある八方台登山口です。ここから山頂までは、片道3時間足らずで登ることができます。ブナの森を抜け、中ノ湯の跡地を過ぎると、やがて広大なお花畑にたどり着きます。そこは、檜原湖や秋元湖をはじめ、眼下に裏磐梯が望める絶好の展望地です。花のシーズンであれば、ハクサンチドリやタカネナデシコ、クルマユリにバンダイクワガタなどが咲き乱れ、高山植物好き登山者のテンションが急上昇するポイントとなるでしょう。お花畑からひと登りの弘法清水で喉を潤し、小屋の売店で腹を満たし、もうひと踏ん張りの急登をがんばれば、標高1819mの山頂です。ここは、360度の大展望。南に猪苗代湖、北に裏磐梯の湖沼群、その向こうには吾妻連峰やら安達太良山など福島県内の山々のほか、月山や飯豊、燧ヶ岳など南東北の山並みが一望できます。お弁当を持って、のんびりと過ごすといいでしょう。

 さて、下山ルートにお勧めしたいのが、ちょっと足を延ばして火口原をたどるルートです。弘法清水まで同じ道を下り、分岐を右に、櫛ヶ峰のほうをめざします。天狗岩を過ぎると、爆裂火口の壁を一気に下る道が現われます。岩のガレ場ですが、ここを慎重に下りていくとやがて火口の底に到着します。見上げれば、圧倒的な岩の屏風が覆い被さっています。この景観をつくり出す噴火とはどんな規模だったのかなど、想像にも及びません。火口原を銅沼方面へ歩を進めれば、裏磐梯スキー場へと続くルートと中ノ湯跡へと戻るルートの分岐点に出ます。右へ下りれば、五色沼がある一大観光地の裏磐梯高原へと出られます。左にとれば、ちょっとした登り返しを経て、中ノ湯跡まで45分くらいの行程です。中ノ湯跡から先は、登ってきた道を八方台へ。マイカーを利用するなら、このルートがいいですね。

 今回紹介しているルートは、山頂までの前半が「たおやかなやさしい磐梯山」で、後半の火口原ルートが「きびしく叱咤するかのような磐梯山」となります。この表裏一体の奥深さこそ、宝の山の魅力なのだと思っています。雪の融けた初夏から全山燃ゆる秋までが、磐梯山の登山シーズンです。今年は福島の山へ、登ってみませんか?

●磐梯山登山情報
おもな登山ルート:八方台登山口(往復約4時間)、猪苗代登山口(往復約6時間)、
川上登山口(往復約7時間)、裏磐梯登山口(往復約7時間)
登山情報:TEL0242-74-1221(磐梯町役場)

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