- 山と雪
山ガールはコケ女子へと進化する!?
2013.05.21 Tue
林 拓郎 アウトドアライター、フォトグラファー、編集者
いよいよ春から初夏に向かうこの季節。山歩きの際、ぜひとも目に留めていただきたいのが「コケ」であります。岩に、倒木に、はたまた切り株に。さまざまな形のコケが所狭しと育ち、四方八方へと葉を伸ばしています。言われてみれば、それはまるで小さな森。この超ミニチュアサイズのみずみずしい緑の中に、ちいさなちいさな人たちが暮らしているようにも思えてきます。マジ、アリエッティってこんなところに住んでるかも! もしかしてこの森の根本には妖精が隠れてる? メルヘンな女子だけでなく、おっさんでもじゅうぶんそんな気になってくるから不思議なんですけどね。
この小さな世界に引かれて山歩きを始めるガールズたちも多数。週末ともなれば水の豊かな山をめざしてハイキング。美しい緑を写真におさめてひたすら癒されるコケハイキングは人気急上昇中です。中にはマクロレンズ装着のカメラで不思議な遠近感を楽しみながら、ジオラマのようなコケ写真を撮る人も現れています。
デパ地下の食品街には必ず和菓子やらワインやらの専門店が出店します。それはスポーツ雑誌からやがてサッカー専門誌がうみだされ、バラエティ番組はやがて芸人のトークの場へと変わっていくように。一般の中に特殊化、あるいは専門化のさざなみがたつことは自然の理っていうわけです。
すでにコケが生えるほど使いつくされた山ガールという言葉に取って代わって、ワンランクマニアックなコケ女子は確実に増加中。今年は山の冬が長かったので、ちょっとコケも遅れ気味。今からでもじゅうぶんトレンドには追いつけます。まずは山歩きをしながら、スギゴケを眺めて架空の森に想いを馳せるあたりからどうぞ。