- 山と雪
「ラナコスタ」 〜プロ登山家・竹内洋岳さんプロデュースの映像プロジェクトがスタート〜
2013.11.30 Sat
林 拓郎 アウトドアライター、フォトグラファー、編集者
2012年、日本人初の8000m峰14座完全登頂を成し遂げたプロ登山家・竹内洋岳(たけうちひろたか)さんが新たなプロジェクトをスタートさせた。その名も「ラナコスタ」
「RADICAL NATURING CONTENTS STATION」を略したもので、大自然と向き合うプロが見せる最高のパフォーマンスを、最高の映像家たちが形に残し、その映像を配信していくというものだ。
「RADICAL NATURING CONTENTS STATION」
http://ranacosta.net/
このプロジェクトの目的はプロの活躍の場を作ること。映像を素材として、あるいはできあがったムービーを一つの作品としてビジネスベースに乗せることで、次の活動のステージの資金にする。同時に、その映像を見る人たちにプロアスリートという生き方を提示し、心を刺激する意味もある。
その第1作が本日2013年11月30日 午前0時に公開された。
記念すべきファーストムービーのタイトルは
「The Real Climbing」
「ラナコスタ」ではあくまでも竹内さんが「この人と一緒に仕事をしたい」という人に声をかけることで成立する。その最初の作品にフィーチャーされているのは2013年に第21回ピオレドールを受賞した花谷泰広(はなたにやすひろ)さん。「登りたいところを、登りたいパートナーと一緒に登ってくれ。好きにやっていい。ただし、最高のパフォーマンスを見せてほしい」(竹内)
こういって誘われた花谷さんがパートナーに選んだのは今井健司(いまいけんし)さん。さらに映像担当はふだんスキーやスノーボードの撮影を主に手がける夷 フィルムスの関口雅樹(せきぐちまさき 通称ケニア)さんという異色の顔合わせも叶った。
花谷さんが選んだ場所は、北穂高の「滝谷」。“鳥も通わぬ谷”と言われる厳しい地形にいどみ、その様子をつぶさに撮影して作品に仕上げた。
「鳥も通わぬ谷」(ラナコスタより)
竹内さんによれば、今回の映像のコンセプトは、「日本のアルパインクライミングのプロモーションビデオ」だそうだ。「ハウトゥでもなく、山岳紀行の案内でもない。日本のアルパインクライミングの素晴らしさを知ってもらう。そして、いずれ自分もこの世界に入りたいと思ってもらえるように」とのこと。こうして、そのコンセプトを十分すぎるほどに達成した上質の作品が、ネット上で公開されることとなった。
プロクライマー達の美しい身体の運び、厳しくも美しい岩肌、そしてそれらを細か屋に捉え作品にしていく愛情。すべてが詰め込まれて、今、ラナコスタが動き始めた。
「The Real Climbing」