• 山と雪

北海道新幹線開通で、今しかできない山歩きも近くなった

2016.03.26 Sat

 本日、ついに北海道新幹線が開通しました。

 新青森駅から新函館北斗駅まで、その距離約149km。東京からなら新函館北斗駅まで最速4時間2分。海外にも引けを取らないアウトドアフィールドが広がる北海道が、この北海道新幹線によってまたひとつ近づいたと言えます。

 さて、本格的な春が目前に迫っていますが、これからがベストシーズン突入する北海道のとある山歩きご紹介。

 その名も「ニセコオートルート」。

 オートルートとは「La Haute Route」と綴り、フランス語で“高き道”という意味を持ちます。

 本家は、アルプスの最高峰モンブランの山麓の町シャモニーから、アルプスのピラミッドとも呼ばれるマッターホルンの山麓の町ツェルマットまでをつなぐ有名な山岳縦走ルートのこと。残雪シーズンにいくつかの山小屋を利用して、ヨーロッパアルプスの雄大な景色を楽しみながら、山スキーで踏破するのが山スキーヤーの憧れだったりするわけです。

 そのニセコ版が「ニセコオートルート」なんですね。
 
 いまや世界的な知名度を誇るニセコ連峰から、日本海の岩内へと連なる全9峰を、およそ2泊3日をかけて歩くルート。登って歩いて、たまに滑ってまた登って……を繰り返して進む約28kmは、天気が安定する日が格段に増える4月がベストシーズン。まさにこれからが「歩きどき」と言えるわけです。


ニセコオートルートで歩く全ルート。右側がゴール地点の岩内岳だ
 ルートは、3つのスキー場があるニセコアンヌプリ(1,308m)を起点に、イワオヌプリ(1,116m)、ニトヌプリ(1,080m)、チセヌプリ(1,134m)、シャクナゲ岳(1,074m)、白樺山(959m)、前目国内岳(まえめくんないだけ 981m)、目国内岳(めくんないだけ1,220m)、岩内岳(1,086m)の9峰。途中の宿泊は、ルート内の山麓にある五色温泉と新見温泉を利用するのが一般的。

2峰目イワオヌプリから進行方向を眺めて。真っ青な空にクッキリと雪山の稜線が浮かび上がり、今から歩く道を前に気合いが入る

 山スキーと聞くと滑りの技術が問われるようですが、ルートの多くは歩き。縦走を楽しむついでに滑りが少し付いてくる、という方がしっくりきます。もちろん、そこはスキー場ではないので、プロのようにうまくなくても、どんな場所や雪でも安定して滑れる技術は必要となりますが。

 昨年の4月に訪れた際は、ちょうど連山を南北につらぬく「ニセコパノラマライン」の除雪が進んでいる時期でした。うららかな日差しのなか、こういった風景に出会えるのも春目前ならではと言えます。

映像終盤、奥側に見えるのは一番登りがキツかったチセヌプリ
 

 ゴールの手前、8峰目の目国内岳から来た道を振り返ると、これまで自分の足で歩いてきたニセコ連峰が一望できました。そしてはるか彼方、最奥で一行を見守るのは、蝦夷富士「羊蹄山」。進行方向には青い日本海が広がり、その向こう側には雪をのせる積丹半島の姿も。本州とはまた違う、これぞ北海道と呼べる雄大な風景は、このロングルートのまさに醍醐味と言えました。

 全行程の詳細や、ニセコオートルートを案内してくれる山岳ガイド情報は、年末にご紹介したバックカントリーマガジン「WHITE MOUNTAIN」の巻頭にも掲載されています。また残念ながら廃館が決まったオートルートに不可欠な「新見温泉」は、現在新オーナーとの契約にむけ調整中という話も。

 その時期、その時期にしかできない“外遊び”のタイミングをはずさないように、みなさんもぜひアンテナを張って楽しんでください!

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