- 山と雪
【山ヤの子育て】番外編・室内でもできる! 子どもを山ヤに育てる幼児向けオススメ遊具
2020.04.16 Thu
まつだ しなこ 子連れハイカー
山ヤ夫婦の英才教育、暗礁に乗り上げる!?
夫婦そろって山ヤなわが家の子育て方針はとてもシンプル。「子どもも山好きにしよう」である。
その方針に従い、生後8ヶ月で登山デビューし、キャンプや川遊びなど、アウトドア英才教育を順調に楽しんできたわが家の娘が2歳になったとき、突如、アウトドア教育が暗礁に乗り上げた。
理由は、新型コロナウイルス(COVID-19)による外出自粛である。
人間の五感は3歳までに、運動能力の発達は6歳までに完成すると言われている。そんな貴重な時期だというのに、家の中でテレビばかり見せていては、屈強な肉体を持った山ヤへの道が遠ざかってしまう。
そこで、思いっきり走り回れないかわりに、2歳児ができる室内遊びをあれこれ模索した。
子どもの足に異変。増える「偏平足」
幼児の一日の理想歩数は約3万歩と言われているが、ベビーカーや電動自転車がどんどん改良されている現代、子どもをこんなに歩かせることはなかなか大変だ。
そのため、子どもの「偏平足」が増えているそうだ。
2歳の誕生日にとった娘の足型。土踏まずがまだほとんどない。これから足指をしっかり使うことでアーチができていく。
——3歳あたりから土踏まずが形成されはじめます。しかし、この成長段階で足の裏を刺激するような凸凹道を歩かなかったり、一日あたりの歩数が少なかったり、まちがった歩行を繰り返したりすると、足の裏の腱や筋肉が鍛えられず指を使って踏ん張ることができなくなります。結果、偏平足になってしまうのです。——
(『子どもの成長は足で決まる!』著:柴田英俊 運動と医学の出版社)
たしかに、散歩するにしても道はコンクリで舗装され、公園で遊ぶにせよ隅々までしっかり整地されているため、でこぼこ道を歩く機会が激減していることは日々感じている。足指を使うことがなくなっているのだ。
都内では、キレイに整備された公園が多く、雑草が生えた空き地や、不整地が少ない。公園の花は「取っちゃダメよ」と教えるので、いざ自然の中で植物に触れるときも最初は躊躇する娘。
体を支える足裏にトラブルがあっては、体幹が鍛えられず、バランス感覚も鍛えられないのではないか。これはまずい。重たいザックを背負って、道無き道をゆく山ヤにとっては体幹とバランス感覚は不可欠だ。
そこで今回は番外編として、我が家で大活躍中の、足裏をしっかり使うこと、バランスをとるために体幹を使うことを重視した室内遊具を紹介したい。
室内で使える、子どもの身体を鍛えるオススメ遊具
1)バランスストーン3種×2個のカラフルな遊具。
バランスストーンは、川の中の石を飛び跳ねて渡っていくことをイメージした遊具で、室内でも屋外でも遊べる。
基本セットは6つ。子どもが小さいうちは、それぞれの石をくっつけて並べて配置し、大きくなったらジャンプして渡れるように間隔を離して配置するなど、子どもの成長にあわせて長く遊べる、シンプルながらすぐれた遊具だ。
<特徴>
実際に遊んでみて、この遊具の素晴らしいと思った点は3つ。
まず、足裏への刺激が変化に富んでいること。三角形を段々に重ねたような形状なのだが、三面とも傾斜の緩急が異なるので、足を置く面によって足裏への刺激が変わってくる。頂点をうまく渡り歩くだけではなく、斜面に足を置いて「おっとっと!」とバランスをとるだけでもいいトレーニングになりそうだ。
最初は、飛び石の頂点から次の頂点に、うまく足運びができず斜面に足をついてしまうことが多かったが、滑らないので、そこで足裏にしっかり力を入れて踏ん張って、ひとつひとつ登っていった。
次に、丈夫なこと。体重60㎏ごえの夫が乗っても壊れないので、大人が遊び方の見本を見せることができる。
最後に、収納が楽なこと。その丈夫さにも関わらず、ひとつひとつの飛び石は空洞なので、6つの形の異なる石を重ねて収納でき、大変コンパクトになる。
樹脂製で軽いので、子ども自身でお片づけができ、片づけ習慣をつけることも可能なのがすばらしい。
2)ニンジャ・ボルダリング登るだけではなく、中にも入れる。わが家では壁に寄せるため、あえて片側の足をはずしている。
こちらは、日本全国の忍者が参加する団体である「日本忍者協議会」が公認する、忍者の修行道具「ニンジャスポーツトイ」シリーズのボルダリングウォール。
忍者……? と聞くとマニアックな印象もあるかもしれないが、「ヒローズアップ! クライミングクラブ」を開催するボルダリングインストラクターの太田裕樹さんがしっかり監修に入ってる本格派。ちゃんとルートも計算されている。早くボルダリングをやらせてみたいけれど、ほとんどのジムは小学生からなので、うずうずしていたわれわれ夫婦には、まさにぴったりな遊具だ。
<特徴>
少々お値段のはる遊具だが、3パターンに変形するので、2歳から7歳くらいまで長く遊べる。まずは初級編として、テントのような山形で遊べる。2歳の娘は、最初こそホールドにうまく足を置くことができなかったが、2、3日でコツを掴んで遊ぶことができるようになった。
最初はとくに頂点での方向転換がむずかしいので、親がそばにいて補助してあげるといい。娘の最初の感想は「こわーい、おもしろーい」。
ホールドも本格的で、手の指や、足の指にもしっかり力が入っているのがわかる。2歳児ながら、何度も足を置き直して、スムーズに登れるように工夫しているからすごい。
わが家では、リビングの隅に設置しているが、朝食の後はまずひと登りすることが習慣になってきている。これは将来有望か、と浮き足立つ親バカ。
しかも、意外とコンパクトになるので、狭いわが家でも安心して購入できた。
組み立て前の状態。これくらいコンパクトに折りたためる。
※この他にも使用した細かい部品、写っているけど使用しなかった部品があります。
いつかまた、笑って山に登れるその日まで
雪に覆われていた山にもあたたかい風が吹き、野草も色鮮やかに芽吹く、待ちに待った春の訪れのときに、日本は大変な危機に見舞われてしまった。
何もわからない2歳児は、突然友達にも会えず、外にも出れなくなり、情緒不安定になって、いきなり泣いたり、怒ったりすることも増えた。しかし、室内トレーニングを取り入れることで、日々「できた!」という小さな達成感を感じられるようになったおかげか、元気を取り戻していった。
いまは、親子いっしょに、室内での遊びを通して、いろいろなトレーニングを楽しもうと思う。
いつかまた、家族みんなで笑って山に登れるその日まで。
しなこさんの、パパママへのアドバイス
パパママが張り切って買ったおもちゃに限って、子どもは興味を持たなかったりするもの。でも「せっかく買ったんだからやってみて」と無理に誘わず、子どもが自ら手を伸ばすまで、リビングなど常に目につくところに置いておくことがポイントです。ある日、突然遊びだすので、子どものタイミングに任せましょう。