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【山ヤの子育て】親子登山5座目・2歳児がついに自分の足で初登頂

2020.07.22 Wed

まつだ しなこ 子連れハイカー

登山を通じて、「できる」快感を知って欲しい!

 子育ては毎日ヒヤリハットの連続だ。

 最近も、娘と接していてギョッとするできごとがあった。どんなことも「自分で!」と言っていた娘が、大好きなパズルをプレゼントしたにも関わらず、一目見ただけで「これはまだむずかしいね」とフイッと顔を背けて、挑戦すらしなかったのだ。この反応は大変ショックだった。

 思えば私は忙しさから、娘になにかと「まだ危ないよ!」「まだできないでしょ!」と娘の行動を先回りして否定するような言葉を口にしていた。どうやら、親の無神経なこの発言が、子どものやる気と自己信頼感を奪ってしまっていたようだ。

 これではいけない、と私は猛省した。娘の自信を取り戻さねば。そこで、新型コロナウィルスの緊急事態宣言が解除されたことを機に、親子登山に出かけることにした。目標は、“自分の足で歩ききる” ことだ。


2歳児でも歩ける山、陣場山

 今回は、娘が全行程を歩けるような簡単さで、かつ、密を避けるために登山者が少なさそうなコースを検討した結果、和田峠から巻道を通り陣場山をめざすコースにした。

山ヤの子育て 陣馬山(左)今回の持ち物。オムツ用品(クリーム色の袋)のほかに、汚れてもいいように着替え一式も持って行った。(右)道中、ベビーキャリアの上げ下ろしで注意がほかに行かないよう、飲み物は大人用も子ども用も前面に配置した。

 大人の足で歩けばたった30分程度のコースだが、ふだんの娘の歩くペースから考えると2時間ほどかかる見込みだ。

 このコース中には、おむつを替えることができる場所はないので、その点だけ要注意。いざというときのために、大きめのレジャーシートをお忘れなく。

山ヤの子育て 陣馬山和田峠から登山スタート。巻道を行くので、階段には登らず左に進む。


子どもの挙動は予測不可能! 山歩きの注意事項

 子ども自身に山を歩かせるときの注意点は、目を離さないことは当然として、谷側に落ちないよう、必ず子どもを山側に歩かせること。「どこが危険か」というのがわからず、無心で、花を見つけては駆け寄り、チョウチョウを見つけては追いかけ、大きなミミズがいたらこわくて大きく迂回をしようとする子どもは、自由にさせていたらすぐに谷へ落ちてしまうだろう。

山ヤの子育て 陣馬山大きなミミズを発見。チョウチョウは追いかけるのに、ウネウネ不規則な動きをする異様な物体は怖いらしい。

 サポートするときは、子どもが転ばないようにするのではなく、子どもが転んでも大ケガにならないようにすることがポイントだ。

 娘は、途中何度もよろけたり、たまに転んだりしながら、ゆっくりゆっくり進んでいく。つい転びそうになると、さっと手を差し伸べたくなるが、そこはガマン。不整地を四苦八苦しながら歩くことで、娘はバランス感覚を養っているのだ。

 できるだけ自由に歩かせたいところだが、難所や、人とすれちがうときには手を離さないように注意した。

山ヤの子育て 陣馬山大人にとって、なんてことない岩が出ている登り坂でも、子どもにとっては難所となる。

 突然走り出す子どもを追いかけられるように、荷物の軽量化も大切な注意事項だ。大人にとっては簡単なコースである油断もあり、子どもの荷物をあれこれ持って行きたくなる。しかし、2歳児の体重は12〜13㎏ほど。もし歩けなくなったときのためにベビーキャリアを背負っていくと、合計で20㎏になることも。なるべく荷物は軽量化を工夫したい。

 こんなご時世なので、エチケットのためにもちろんポケットにはマスクを完備。山頂など人が多いところでは着用した。

山ヤの子育て 陣馬山陣馬高原下から登ってくる道と合流。山頂まであと少しだが、ここから土の急登となる。登りよりも下りが危険。

 登りよりさらに子どもの行動に注意が必要なのが、下りだ。まだブレーキをしっかり効かせることができない2歳児にとって、下り坂は一旦走り出すと止まることができず、あっという間に転げ落ちる。登りでしっかり自由な登山を楽しんで、下りは必ず手をつなごう。手と手をつなぐと、急に力強く引っ張ったときに手首を脱臼してしまう恐れがあるので、子どもの手首を掴むのがおすすめだ。

 そして最大の注意点は、「はやくはやく」と子どもをせかさないこと。せかされて登っても山は楽しくない。いつもの癖でつい「はやく行こう」と言いそうになるが、グッとガマン。少し先を急ぎたいときは、「もう少し進むと、松ぼっくりがあるよ」とか、「頂上に着いたらおにぎり食べようね」と、先へ進むのが楽しくなるような、小さなゴールを与えることを心がけた。

山ヤの子育て 陣馬山こんな段差だって、子どもにとっては全身を使って遊べるアスレチック。ただし、石も多く、転んで頭をぶつけないように目を離さないこと。

山ヤの子育て 陣馬山タンポポの綿毛が大好き。


まとめ

 娘が2歳になり、自分でいろいろなことをやりたがるようになってから、無意識に “はやくはやく” と子どもをせかし、自分の手間を減らすために、子どもの行動を先回りして “ダメダメ” ばかり言っていた。

 この呪いの言葉が、山ヤにとって大切な好奇心やチャレンジ精神をいつの間にか娘から奪っていたたようだ。

 とはいえ、時間に追われる日常生活では、保育園の帰り道や、買い物までのちょっとした散歩をゆっくり子どもと楽しむ余裕を持つことは、物理的にも精神的にも難しい。

 だからこそ、たまには “ゆっくり歩くこと” を楽しむために山へ行こう。山では日常生活と気持ちが切り離せるので、子どもを必要以上にせかすこともないし、転ぶことも汚れることも想定内なので、ダメダメ言うこともない。軽いケガならそのうち治るし、汚れは洗えば落ちるのだ。

 登山としては物足りなくとも、子どもが自分の足で歩き切った爽快な笑顔を見ることは、山ヤの子育ての最高のご褒美だ。

山ヤの子育て 陣馬山まだどこの山に来たかなんてわからないだろうが、いちばん高くて、大きい馬がいるところまで来られてご満悦な娘。

山ヤの子育て 陣馬山この場所を気に入ったのか、「まだ帰りたくない。ここで寝る」と下山拒否。


 

しなこさんの、パパママへのアドバイス
 わが家では、日常生活でジュース類は基本的にあげていません。保育園の行事や、山にいったときなど、外でのイベント時だけの約束です。おかげで、娘にとって「山に行くと特別なおやつがある!」とモチベーションアップにつながっています。親子で山に行ったときだけの特別なおやつを決めておくといいかもしれません。


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