- 山と雪
オーバーヘッド! 深さ1m以上のパウダーに大興奮!! 日本屈指の積雪量を誇る「ロッテアライリゾートスキー場」で遊んできたぞ
2021.03.18 Thu
河津慶祐 アウトドアライター、編集者
新潟県の妙高に積雪が530㎝、シーズン累計で2,101㎝もの豪雪を誇るスキー場がある。メジャーなところでいえば、新潟県・南魚沼に位置する「かぐらスキー場」で340㎝、長野県・白馬の八方尾根スキー場で295㎝、北海道・倶知安の「ニセコマウンテンリゾート グラン・ヒラフ」で490㎝と聞けば、その雪の多さがわかるだろう。
(*) 積雪量の数値は、2021年3月4日時点、公式HPより引用。
北米屈指のスノーリゾートであるベイルをイメージしてつくられたというマウンテンリゾート。(画像提供:ロッテアライリゾート)
「ロッテアライリゾートスキー場」
1993年に「アライ マウンテン アンド スノー リゾート」として開業した同スキー場だが、2000年以降のスキー・スノーボード人口の激減、それにともなう経営不振により、惜しまれつつも2005-2006年の営業を最後に閉鎖となった。
それから約10年後の2017年。「ロッテアライリゾート(以下 ロッテアライ)」としてリニューアルオープンを果たす。
開業当初より北米型のスノーリゾートをお手本にゲレンデとホテルが一体となった滞在型スキー場をめざしていたこともあり、ホテル、ゲレンデベースとなるビレッジ、そしてゲレンデが統一感を持ったリゾートとしてつくられている。
まずいちばんの目玉はスキー場だろう。冒頭でも説明した通り、日本屈指の積雪量を誇り、パウダーを求めるスキーヤーやスノーボーダーが殺到している。コースは15本、リフトは4本とゴンドラが1本。その数字だけみると、規模としてそれほど大きくないのだが、じつはこれ以外にロッテアライを特徴づけている “あるもの” がある。
それは、上の画像で紫色に塗りつぶされている「フリーライディングエリア」だ。ここは自由に滑走できるエリアとなっている。いわゆる “コース外” 、オシャレにいうと “サイドカントリー” と呼ばれる場所である。
ほかのスキー場でもサイドカントリーはできる。が、ほとんどは禁止といわれる場所を滑っているのを黙認しているにすぎない。しかしロッテアライは毎日、全エリア、滑走オープンさせる前にパトロールチームによりアバランチコントロール(*)を行ない、かつ、エリアに入り口を設けることで、利用客が安全に非圧雪の自然な地形を滑ることができるようにしている。なので、日によってはクローズしたまま、ということも少なくない。
(*) 人工的に雪崩を引き起こし、被害にあうリスクを減らす取り組み。
バックカントリースキーと見まちがうような斜面。でもここ、ゲレンデ内なのである。後ろにそびえるは妙高山。(画像提供:ロッテアライリゾート)
こんなツリーランも楽しめる。(画像提供:ロッテアライリゾート)
取材を行なった1日目。この日は雪が降り、ホワイトアウトするほどガスっていた。しかしコース上でも新雪の積雪が10㎝、フリーライディングエリアはなんと100㎝以上もの積雪が。雪が多すぎて全エリアオープンとはならなかったが、人生でベスト3に入るほどのパウダーを堪能できた! 滑るたびに全身覆うほどの雪が舞い上がるので、何ℓの雪を食べたことだろうか……。
この積雪量、おわかりいただけるだろうか。
板を雪面に当てた瞬間に舞い上がる雪煙は人を覆い隠すほど。
この日に滑ったフリーライディングエリアは「船石」と「マムシ」。マムシは地形も斜度も最高!
右にいるのが今回いっしょに旅した「ちなつちゃん」。学生時代にはクロスカントリースキーで全国大会にも出ているツワモノ。あとのおふたりはゲレンデで仲よくなっていっしょに滑っていたヒデさん(中)とメグさん(左)ご夫婦。
2日目は打って変わって快晴。しかし夜の間に積雪がほとんどなく、雪の状態がリセットされることがなかった。この日に狙ったのは「大斜面エリア」。前日はオープンしなかったため、ベストコンディションで滑れるだろうと、早々に列に並びゲートオープンを待つ。先頭近くで登れ、最高の一本を滑ることができた!
手前に広がっている斜面が「大斜面エリア」。どこを滑ってもいい! ハイクアップする前に、ちなつちゃんと入念に滑るライン決め。"
予定していた場所からドロップ!! 先行者のトラックを避け、滑り降りていく。
大斜面への最初のハイクアップ時。どこぞのテーマパークか、と思うぐらいの列ができている。
二本目のハイクアップ時。大勢が踏み固めていったので、キレイな道ができている。板は手で持つよりも専用のバックパック(ザック)で背負ってしまうのがオススメ。
ロッテアライのもうひとつの目玉は “リゾート” にある。長期滞在型のマウンテンリゾートとして銘打っている同ホテルは、ゲレンデ以外でも楽しめる施設が多数備わっている。とくにスキーデビュー前であったり、長時間滑っていられない子どもが飽きずに遊べるものが多い。
建物に囲まれた中庭部分「PLAZA」にあるのは「キッズスノーガーデン」と「スノーアドベンチャー【HIZUME】」。雪遊びさせたいときにはここがオススメだ。
ヒヅメでは、スノーシューやハンドルバー、スノーストライダー、ファットバイク、チュービング、ソリ、雪板といったものを楽しむことができる。
楽しくて大はしゃぎなちなつちゃん。斜面の上はへ幻想的なムービングベルトで移動できる。
人気が出はじめている雪板。なかなかむずかしいらしく、大転倒。ファットバイクは自転車なのに雪で滑らない! 新雪を走る感覚は病みつきに。
室内アクティビティなら、まずは「プレイグラウンド」。ここではボルダリングにクライミング、トランポリンを楽しむことができる。ボルダリングにはハングの高難度ルートもあるので、クライマーでも満足できるだろう。
室内プールにスポーツジム、卓球といった施設もある。
都市圏にあるボルダリンジムと遜色ないウォール。シューズはレンタルできるので手ぶらでもOK。
トランポリンはただ楽しいだけでなく体幹トレーニングにもなる。
屋内プールは年中無休利用できる。夏季は屋外プールも開放となり、夜にはDJのライブやライトアップを行なうナイトプールも楽しめる。(左画像提供:ロッテアライリゾート)
ほかには、両親ともに滑りに行きたい! といったときには「キッズルーム」。リラックスしたいときには天然温泉でゆったりしたり、「SPA MANNA」でトリートメントやスパを。1,200冊もの蔵書を取り揃えている「ライブラリー」といった施設まで備えている。
一般的に “価格帯が高め” と思われがちなロッテアライだが、その施設の充実ぶりからすれば妥当な価格だろう。通常のリフト券(エコノミー)より高額なファーストクラスも、この雪質のゲレンデで優先してゴンドラやリフトに搭乗できるならば払う価値はあるだろう。実際、取材時にもファーストクラスで先に登っていたスキーヤーが、ノートラックのフリーライディングエリアを気持ちよさそうに滑っていた。
夕食は「THE PLATE」で洋食ビュッフェをいただいた。レストランはほかに和食やステーキなど。カフェやバー、ゲレンデのフードコートを含めると、全部で12もの店舗が揃っている。
新潟県の妙高というと遠そうなイメージもあるが、東京からだと八方尾根スキー場や、野沢温泉スキー場に行くのと時間は変わらない。名古屋や大阪などから向かっても10〜30分ほどしか変わらないだろう。
豊富な積雪量を誇るロッテアライは、例年5月までスキーやスノーボードを楽しむことができる。冷え込んだ日にはパウダースノーも期待できるかもしれない。スプリングシーズンも楽しめるロッテアライリゾートに、ぜひ一度、足を運んでみてはいかがだろうか。
ロッテアライリゾート
住所:新潟県妙高市両善寺1966
電話番号:0255-75-1100
ほか施設:
・スノースクール
・レンタルショップ「Salomonステーション」
・チューンナップショップ
・アウトドアショップ
・お土産屋
・コインランドリー
ご予約や施設利用料金など、詳細は公式HPへ
(モデル=緒方千夏 文=河津慶祐)