- 山と雪
【NEWS】南魚沼市がショートムービーを公開。「雪国」への移住の先にある暮らしとは
2021.03.30 Tue
林 拓郎 アウトドアライター、フォトグラファー、編集者
新潟県南魚沼市はこれまで移住政策のキーワードに「雪」を据えて、地域の魅力を訴えてきました。滑ることが好きな人たちなら、冬の苦労の代表として挙げられる雪さえもポジティブに捉えることができる。そうした人たちが南魚沼に集まることで地域のチカラを増し、新たな暮らし方をクリエイトしていこうという発想はさまざまなムーブメントに繋がっています。
2019年8月には地域のスノーカルチャーをまとめた小冊子『雪ふるまち』を発刊。Akimamaでも
脳内が一瞬で真冬になる超豪華な雑誌が出たぞ! 新潟県南魚沼市が作ったフリーマガジン。限定5,000部、急げ!
として紹介しました。
こうした「雪」を中心にした暮らしをさらにリアルに感じてもらおうと、南魚沼市では新たに4本のショートドキュメンタリームービーを製作しました。「滑ることと仕事の両立」「雪に寄り添った進路決定」「Uターンの意味と価値」そして「雪国での自分の価値の実現」という4つの切り口を持っていますが、根底に流れるテーマは「仕事」です。
というのも、多くの移住で最大の課題となるのは「仕事」です。移住によって得られるだろう豊かさは、仕事を変えるに値するものなのか。そのハードルを超えるためには、移住による豊かさの具体例と共に、移住した先にある仕事の実態を知る必要があります。
南魚沼の移住者と、将来戻ってくることを望んでいる出身者が仕事をどう捉えているのか。そして「雪」とどう向き合っているのか。それらを知ることで、彼らの根っこがこの地に繋がっていることの意味や、そうした地域への愛情がもたらす豊かさを感じ取ることができるでしょう。
■EX https://www.youtube.com/watch?v=yd3UDMzuREk六日町に移り住んできた3人の滑り手たちをフィーチャー。宿泊施設の運営、ガイド、飲食店経営と仕事はさまざまですが、それぞれに自分の時間をうまく使いながら「滑る」ことに前向きに取り組んでいます。彼らの暮らしを通して、滑り手から見た移住の魅力を描き出します。
■XC https://www.youtube.com/watch?v=4k7aEURl4Rk雪国に生まれ育った青年がクロスカントリースキーに親しむのは珍しいことではありません。けれど、それが一生の進路を決めるものになるとは思ってもみませんでした。将来は教師として地元に帰り、クロスカントリースキー部の顧問として活動したい。自分の未来と好きなこと、そして地元という3つの要素がピタリと重なった青年の、清々しい決意の物語です。
■U Turn https://www.youtube.com/watch?v=IkeDP7cbVOo南魚沼出身ながら、ながくその地を離れていました。家族もでき、子供も大きくなった。そんなタイミングでのUターンには、さまざまな障壁があったはずです。それらを乗り越えた先にある、新たしい人生。それをスキーに重ねて「やっぱりここがいいな」と思える。人生に納得することから生まれる、幸福な暮らしのお話です。
■New Founding https://www.youtube.com/watch?v=I5ungQTpMuYスノーボードで身を立てていこうと考えていた青年は、諦めの末にあった小さなやりがいを育ててきました。そうして今や飲食店を創業し、多くの笑顔に巡り合っています。諦めから20年以上を経ても、滑ることをやめていない。それは、その情熱を受け止めることができる地域だから。熱意を形にする人の、駆け抜けてきた生活のストーリーです。
移住を考える人たちの参考になるだけでなく、ドキュメンタリーとしての見ごたえにもあふれています。スノーシーズンもそろそろ終りが近づいてきましたが、来たるべき冬とこの先のスノーライフを見据えながらご覧になるのはいかがでしょうか。
また南魚沼市の公式チャンネルでは行政からのアナウンスに加えて、移住についての意見交換の様子や郷土料理を応用したアウトドアレシピを紹介するなど、無雪期を含めた通年での地域の魅力を発信しています。移住を具体的に考える人には、こうした情報も参考になるのではないでしょうか。